2級機械保全技能士 機械系保全作業 を受験してみることにしました。
2級機械保全技能士は試験範囲が広いため、勉強方法に悩む方も多いと思います。
ひとまず暗記が重要だと思いましたので、主に自分向けに重要事項をまとめてみたいと思います。
試験直前に自分が内容確認するために、本記事を作成しています。
極力無駄なことは書かず、細かな解説はしないように心がけます。
一覧としてテキパキと暗記すことを目的にまとめてみます。
設備の信頼度と保守性を表す指標
言葉の定義ですので覚えるだけです。
故障強度率と故障度数
設備の故障の起き具合を定量的に数字で評価するための指標です。
故障を、停止時間で評価するのか/発生件数で評価するのかの違いです。
計算式の分子が、時間なのか/回数なのかを覚えておきましょう。
故障強度率(故障率) = (故障停止時間の合計) ÷ (負荷時間 の合計 ) ×100
故障強度:failure intensity
故障度数率 = (故障停止回数の合計) ÷ (負荷時間 の合計 ) ×100 [故障回数/時間]
故障の発生頻度数と覚える。MTBFの逆数です。
故障度数率:Failure frequency フリークエンシー:頻度なので回数と覚えましょう。
頻度の度が度数の度と覚える。
*分母の負荷時間について、負荷時間とは、実稼働時間だけではなく、故障による停止時間も含む
MTBFとMTTFとMTTR
平均故障間隔・平均故障寿命・平均修復時間これらの区別ができているか?
平均故障間隔(MTBF:Mean Time Between Failures)
修理されてから次に故障するまでの動作時間の平均です。
繰り返し修理しながら使うタイプの設備に適用する指数です。
「Between」 は間隔で 「Failures(フェイリヤー)」 は故障です。
故障と故障の間隔の時間とは、すなわち、通常稼働している時間のことです。
MTBF = (総動作時間) ÷ (総故障件数) [ 時間/故障回数]
数式だけを見ると故障度数率の逆数になります。
一回修理するとMTBF時間分は動いてくれるだろうという指標です。
平均故障寿命(MTTF: Mean Time To Failures )
寿命が来たら修理せずに新品交換するタイプの部品の信頼性を表す指数です。
故障するまでの時間を表します。部品寿命=死とした場合、ほぼ平均寿命と同じ意味です。
MTTF =( サンプルの動作時間の合計 ) ÷ (サンプル数)
平均修復時間 (Mean Time Between Repair)
修理時間の平均値です。一度故障したらだいだいこのくらい時間がかかるだろうの目安です。
MTTR = (故障時間の合計) ÷ (故障停止回数の合計)
故障の原因解析
TFAがトップダウン手法であるのに対し、FMEAはボトムアップ手法。
FTA…故障の木・フォルトツリー解析です。 (FTA:Fault Tree Analysis)
下位アイテムの不具合原因を解析してゆく
(FMEA:Failure Mode and Effect Analysis:不良モード影響解析)
上位アイテムの要求機能に対する下位の不具合の影響を解析します。
①設備内の部品・ある部分の故障モード(断線,短絡,折損,摩耗等)を考えリストアップする。
②それぞれの故障に対して、設備全体としてみた場合、どのような影響があるかを考える。
管理図
p管理図 ・ np管理図 ・ c管理図 ・ u管理図
p管理図…不良率の管理図。 Proportion chart:不良品の割合
np管理図…不良個数の管理図 numbe:数 。不良品の数 n数。
c管理図…欠点数の管理図。サンプルの大きさが一定の時 :Count
u管理図…単位当たりの欠点数の管理図。サンプルの大きさが一定ではない時。 un-count
生産者危険と消費者危険
生産者危険…合格すべきものを不合格としてしまう。(生産者に損失が生じる)
消費者危険…不合格品を合格にしてしまう。(消費者に損失が生じる可能性がある)
バスタブ曲線(故障率曲線)
初期故障期
時間の経過とともに故障率が減少していくもの。主に設計や製造上の欠陥による故障。
偶発故障期
故障が時間の経過に関連のないもの。故障率一定とみなせる
摩耗故障期
故障が時間の経過とともに増加していくもの。主に磨耗、損耗など特定の不良モードによる故障。
労働安全衛生
火災の種類
ABCDの火災の種類です。危険物取扱試験にも出てくる可能性があります。
火災の種類は4種類ですが、消火器の種類は3種類(ABC)です
A火災…普通可燃物の火災。普通火災。木材・紙・繊維など。消火器の円形標識は白。
B火災…油による火災。油火災。可燃性液体。消火器 の円形標識は 黄色
C火災…電気設備の火災。電気火災。消火器 の円形標識は青色。
D火災…金属の火災。金属火災
酸素欠乏
酸欠は何パーセントからでしょうか?
酸素欠乏等防止規則
酸素欠乏とは、空気中の酸素濃度が18%未満。
クレーンの安全知識
ワイヤーロープの1撚りの間で素線数の断線率が10%以上は使用できない。
ワイヤーロープの直径の減少が7%を超えると使用できない。
研削盤の試運転時間
労働安全衛生規則にて定められています。
・使用開始前は毎回1分間の試運転
・砥石交換時は、3分間の試運転。
潤滑
潤滑剤のおもな使用目的は、減摩擦作用です。 そのほか、冷却・防錆などがあります。
耐熱グリスには、温度が高くなると硬くなるものもあれば柔らかくなるものもあります。
その他、二酸化モリブデン系のグリスは極圧性が高いです。を摩耗面に塗布することで、かじりを防ぐことができます。
潤滑油の粘度グレード
粘度と粘度指数
粘度(Viscosity)とは、潤滑油のねばりっけを表します。
潤滑油の粘度は、温度が高いと低くなる(さらさら)。温度が低いと高くなる(ねばねば)。
そこで、粘度グレード(VG:Viscosity Grade。ビスコシティーグレード)は、
温度40℃を基準にして動粘度の中心粘度で呼ぶ。
動粘度の単位はm㎡/S [cSt]センチストークス。
ISO VG32はVG460よりも粘度グレードが低い=サラサラしている。
粘度指数VI…温度による潤滑油の変化のしにくさ。粘度指数が80を超えると良質な潤滑油。
(VI:Viscosity Index。ビスコシティーインデックス)
温度が高いと粘度が下がる→潤滑油がサラサラ→油膜が薄くなる→焼き付きが発生しやすくなる。
潤滑油は使用中に空気中の酸素と反応して酸化する。温度が10℃温度が高くなると、酸化速度は2倍になる。これを防ぐために、酸化防止剤を添加する。
潤滑油の種類と用途
種類 | 用途 | |
タービン油 (ISO VG32 タービンオイル) | 油圧作動油(油圧装置) 給油型エアシリンダのルブリケータ 無添加(1種)・添加(2種)の2種類がある。 色は透明に近い。 | |
マシン油 ISO VG46 マシンオイル | 潤滑油の中でも使用の用途が幅広い | |
ギア油 ISO VG150 | ギア減速機 粘度グレードが高いためかなりドロドロしている。 |
動作油の汚染度
National Aerospace Standard
100ml中のサンプルにどのくらいの汚染物質が含まれるか。
潤滑油の酸価値測定
JIS K2501:2003 て測定法が規定されている。
“試料 1g 中に含まれる酸性成分を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム(mg)数”
潤滑方式
潤滑方式 | |||
集中潤滑 | 分配弁を通して複数個所へ 潤滑油を送り込む。潤滑油だけではなく、グリスも可。 | ||
はねかけ潤滑 (飛沫給油) | 油ための油をはねかける。 回転体にはねかけ装置をつける | ||
液下潤滑 | 給油器を用いて油を滴下 | ||
油浴潤滑 | 軸受の一部を油に浸して運転させる 転動体すべてを油に浸すわけではない。 油面計を取付けて油量確認 | ||
強制潤滑 | ポンプで強制的に潤滑 |
グリスのちょう度
ちょう度が大きいほどグリスは硬いか?
潤滑油は粘度で分類し、グリスはちょう度で分類します。
ちょう度とは、グリスの硬さです。「ちょう度が大きいグリスは柔らかいです」
動粘度と異なりちょう度は高いほど柔らかく低いほど硬くなります。
一方で、ちょうど番号(グレード)が高いグリスは硬いです。
ちょう度0号のグリスは柔らかい。ちょうど2号のグリスは硬い。
0号→集中給油 きわめて柔らかいです。
2号一般機械 中間くらいの柔らかさです。
3号のグリスはかなり硬いグリスです。
グリスの種類と特徴
グリス種 | 特徴 | |
シリコングリス | 耐圧性に劣る。 | |
グラファイトグリス | 極圧グリス 水に溶けにくいため、寿命が長い・ | |
二硫化モリブデン | 耐圧性が高い。 かじり防止に使用される。 |
機械要素
歯車
ピッチ円の直径d[mm]を歯数zで割った値がモジュールmです。
歯末のたけ | ha | 1.00m |
歯元のたけ | hf | 1.25m |
全歯のたけ | h | 2.25m |
歯末のたけhaはm (歯まつのたけはモジュールに等しい)
歯元のたけはhf≧1.25mで表されます。
歯元のたけ=モジュールm+頂げきkm である。
頂げき km≧0.25mであるから hf≧1.25m
全歯たけh ≧2.25m
歯車の種類
ヘリカルギア (はすば歯車) | 平歯車よりも強度、振動、騒音で有利。 |
油圧ポンプの種類
ポンプ | ||
ピストンポンプ | ピストンの往復運動で給油・排油する。 高圧が出せる。 | |
歯車ポンプ (ギアポンプ) | 歯車によって作動油を吸込側から吐出側に押し出す。 外接形と内接形がある 部品点数が少ない。 | |
定容量形ポンプ | 1回転当たりの理論的な吐出量を変えることができない。 当然回転数が上がれば吐出量増える。 | |
ベーンポンプ | 脈動が少ない |
機械要素の異常
ベアリング(転がり軸受)の異常
各異常現象の「損傷名称」「原因」と「対策」を覚える。
フレーキングとは、転動面がウロコ状に剥がれること。「ウロコ」と「はがれ」がキーワード。
フレーキングの原因は、材料の疲れ。過大荷重。
ベアリングの転動面は繰り返し応力荷重を受ける。
芯出しの不良によって生じることもある。
対策:潤滑油膜が良く形成されるように粘度を高くする
油膜が破れて金属同士が直接接触することによって生じる肌荒れ。「かじり」微小な溶着。
通常、転動体(玉・コロ)はベアリング内でころがり運動を行うはずだが、グリスの性能不足によりすべり(こすりつけ)が生じる現象。
Smearing:こすりつける。汚す。汚して不鮮明にする。汚す。
スミアリングの原因は、油膜切れ。
圧こんとは、小さなくぼみができる。
圧こんの原因は、衝撃と異物。
フレッチング:はめあい面に振動などの往復荷重がかかるときに、接触面にキズができること。
fretting wear:フレッチング摩耗。フレッチングによるキズにより摩耗粉が生じる。
Fretting Corrosion:摩擦腐食。腐食摩耗。フレッチングにより金属表面が削れる。このため新しい皮膜が露出する。これがまたフレッチングにより削られる。を繰り返すことによる腐食。
原因は、はめ合いぶにおけるすべり摩耗。 しめしろが小さい。
対策:しめしろが小さい。(隙間があるようなイメージ)
→しめしろを大きくする。(きつくしめる)
なし地とは、ベアリング軌道面の「光沢が消えてなし地に荒れる」現象。
原因は、潤滑不良と異物の侵入
しめしろ不足によるすべり。
はめ合いを修正する。
歯車の異常
歯車の異常と損傷対策について覚える。超重要であるためよく覚える。
歯面から厚みのある金属片が剥離する。
キーワードは「かなり大きな」「金属片の剥離(はくり)」
歯面の過大負荷が繰り返し加わることによる疲労が原因。材料・熱処理の不良。
剥離(flaking)ベアリングのフレーキングと同一現象とおもわれる。
spalling:剥離・破砕
flaking :剥離
flake:破片・断片。コーンフレークのフレーク。
対策:歯表面の硬化処理。
歯面どうしが接触することによる溶着(微小な焼き付き)とその引き剥がしによって生じる。
油膜切れにより、ギアの歯面どうしが直接接触する。摩擦による温度上昇が起き、溶着が発生してしまう。油膜が破断し微小な焼き付き。「かき傷」
金属同士が接触する→溶着する→その引き剥がしによって発生する。
scoring:かじり。溶着。
Smearing: かじり
対策:潤滑油の粘度アップ・潤滑油の供給量増。
ギアの歯面が繰り返し荷重を受けることによる表面疲れによって生じる。
まず線状の細かな亀裂が生じ、その亀裂が進行するとピンホールとなる。
繰り返し荷重による材料の疲れが原因。微細な金属剥離が生じやがてピンホールになる。
対策:歯あたりの修正
異物や不純物の噛み込みによって、歯面すべり方向にスリキズ(磨き傷)が発生する現象。
滑り方向にスジ(擦り傷)ができる。歯面がすり減る。
ギア表面と異物が擦れ合い、画面が削り取られることにより、擦り傷が生じる。
abrasive erosion:アブレシブ摩耗 。abrasive:研磨・研磨剤
対策:表面層の硬化。
アブレシブ摩耗の一種。深くてハッキリ見えるキズ。「深いかき傷」「すり傷」
大きな異物の噛み込みにより、歯面の油膜が破れてひっかき状のキズができる。
アブレシブ摩耗よりもはっきりした傷ができるらしい。
磨き傷:アブレシブ摩耗 ⇔ すり傷:スクラッチング
対策:潤滑油に含まれる異物が原因とされるため、潤滑油の清浄化を行う。
エロージョンとコロージョン
機械的
摩耗と化学的腐食。
エロージョン(erosion)とは、機械的な浸食・摩耗・風食。配管部品の曲がりの部分で液体の衝突起き、管内が摩耗する機械的な浸食。微小な機械的欠損。
コロージョン(corrosion)とは、生物的や化学的な作用によって生じるな腐食のことです。
金属が酸化して錆びつくこと。
corrosion-resistant:耐食性 corrosion-resistant alloy :耐食性合金
electrolytic corrosion, 電食
コリジョン(Collision)は「衝突」。 コロージョン(corrosion) は腐食。スペルが違う。
機械的作用として液体の衝突によって起きる摩耗がエロージョン。逆だと覚える。
材質
鋳造
熱して液状になった金属を型に流し込み成形する方法
種類 | ||
ダイカスト | 高速・高圧で溶融した金属を金型に注入する | |
砂型 | 砂を材料とした型(砂型)で行う鋳造 当然金型よりも鋳肌が荒い。 | |
低圧鋳造 | 低速・低圧で溶融した金属を金型に注入する 下から上へ押し上げて流し込む。 | |
重力鋳造 | グラヴィティ鋳造 圧力をかけずに重力のみを利用して、 ゆっくりと溶解した金属を金型に流し込む |
鋳物のピンホール→鋳型(いがた)の乾燥不足。
塑性加工
転造 | 強い力を加えて素材を変形させる おねじ加工など 硬度の高い素材は、転造に向かない |
鍛造 | ハンマーなどで金属の加工物をたたいて 目的の形に成形 刃物など |
圧延 Rolling | 回転するロールの間に材料を通して、 薄く延ばす |
被覆アーク溶接棒の被覆材
被覆アーク溶接棒とは、金属の棒にフラックス(被覆剤)を塗布したものです。
先端からアークを発生させます。
目的
・安定したアークを作る。集中性のよいアーク。
・スラグの融点調整。粘度調整。
・ガスを発生させる。→大気中の酸素・窒素などが溶融金属に侵入することを防ぐ。
×:溶接部の冷却
×:心金の溶融おを容易にする作用
金属の表面処理
黒染め | 金属表面に酸化被膜を生成 膜厚は1-2μm程度。 環境が悪いと普通に錆びる。 |
酸洗い | 酸性溶液につける→酸化物除去。 |
クロムメッキ | メッキ層に存在する水素の影響で強度が低下する。(水素脆性) 被塗装物体側が陰極となる。 |
静電塗装 | アースした塗装物が陽極。 |
非金属材料
- 天然ゴムはオゾンにより劣化する。
樹脂材料
- 熱可塑性樹脂は、加熱すると軟化する。リサイクルが比較的容易。
当然成型不良が発生して場合でも、溶かせば再利用できる。
塩ビやポリエチレン・フッ素樹脂など - 熱硬化性樹脂は、再加熱しても軟化しない。
シリコン・エポキシ・ポリウレタン等。
試験
非破壊試験の種類
超音波 探傷試験 のみ内部欠損検出できる点を覚えておく
試験 | 検出欠陥 | 原理 |
浸透 探傷試験 | 表面 | 検査物の表面に 浸透性の高い液体を塗る 毛管現象を利用する。 金属でも非金属でも適用できる。 |
渦電流 探傷試験 | 表面 | 渦電流 |
超音波 探傷試験 | 内部 | 音波を侵入。エコー。 超音波を入射させ、その反射波を観察する |
磁気 探傷試験 | 表面 | 漏洩時速 強磁性体にだけ適用できる。 |
硬さ試験
くぼみ測定 | ||
ブリュネル硬さ試験 | 球形圧子を試験片に押し付ける。 圧痕の 「表面積」で硬さを求めます。 | する |
ショア硬さ | ショア硬さ試験は反発係数を利用した硬さ試験 おもりが跳ね返った「高さ」で硬さを求める | しない |
ロックウェル硬さ | 円錐形圧子を試験片に押し付ける。 圧痕の「深さ」で硬さを求めます。 | する |
ビッカース硬さ | 角錐形圧子を試験片に押し付ける。 圧痕の「対角線長さ」で硬さを求めます。 | する |
温度測定
特徴 | ||
放射温度計 | 高温の物体の温度を測ることができる 例えば、300℃以上の温度測定に適する | |
熱電対温度計 | 小さな測定対象の温度測定が可能 | |
抵抗温度計 | 測温抵抗体。白金(Pt100)が用いられます。 金属が温度変化によって電気抵抗値が変化する特性を利用する |
空気圧
・直流ソレノイドはコイル損傷を起こしにくい。
・直流ソレノイドは、電流の立上がりに時間がかかる