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【MELSEC-Q】SD718アキュームレータについて解説

三菱電機製のMELSEC-Qシリーズシーケンサの特殊デバイス領域内に「SD718 アキュームレータ」というアドレス用意されています。実機設備のラダーソフトにもごくまれにSD718が使用されているのを見かけることがあります。

しかし、Qシリーズの各種取説を読んでみても、このアキュームレータについての記載はありません。

そこで本記事にて、このアキュームレータについての説明したいと思います。

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MELSEC-Qシリーズのアキュームレータ

MELSEC-Qシリーズよりも世代の古い三菱シーケンサに、MELSEC-Aシリーズがあります。

アキュームレータとは、MELSEC-Aシリーズにて使用されていたデータ演算用の専用レジスタです。
AシリーズではA0・A1というデバイスを使用します(使用していました)。

一方、MELSEC-Qシリーズでは、各種命令にてわざわざアキュームレータを使用する必要がありません。このため、Qシリーズの取説にはアキュームレータについての説明がないのだと思います。


ではなぜ、MELSEC-Qシリーズにアキュームレータが用意されているのかというと、それは、MELSEC-AシリーズからQシリーズへのプログラム変換時に必要になるからだと思います。

MELSEC-Aシリーズとして設計されたラダープログラムファイルをMELSEC-Qシリーズ向けにコンバートする際、MELSEC-QシリーズにはA領域アドレスが用意されていいないため、Aシリーズのアキュームレータを置き換えるための特殊レジスタとしてSD718が使用されます。

そもそもアキュームレータとは

次に、このアキュームレータとは何なのかを説明したいと思います。

一般的には、アキュームレータ、アキュムレータ(accumulator)とは、動詞アキュームレイト(accumulate)が名詞化されたものです。アキュームレートの一般的な意味は、”長期間何かを貯める・蓄積(ちくせき)する”という意味です。

また、機械工学(特に油圧・空気圧制御)におけるアキュームレータといえば、空気圧タンクのような高圧流体を蓄えておく蓄圧器を指します。


一方で、計算機・コンピュータ工学におけるアキュームレータとは、論理演算や四則演算などを行う際に演算データを保管するための専用レジスタを指します。CPUが演算結果を直接デバイスデータに書き込まず、一旦アキュームレータに演算結果を格納します。計算後に、データ転送命令を使用してデータレジスタ領域に演算結果を転送するようになっています。

MELSEC-AシリーズCPUの取説確認

なお、ACPU プログラミングマニュアル(基礎編)の第3章 デバイスの説明にて、MELSEC-AシリーズCPUのアキュームレータについての記載があります。

三菱 シーケンサMELSEC-A/QnA(大形)、AnS/QnAS(小形)リニューアル事例集を参照すると、Aシリーズでのアキュームレータを使用する命令一覧を確認することができます。

MELSEC-AシリーズからQシリーズへのプログラムコンバート

実際にキュムレータを使用しているACPUのラダープログラムをQCPUプログラムに変換してみます。

変換はとても簡単に行うことができます。

GX Developerでのコンバート手順

GX Developerにて、変換前のACPU用プログラムを開き、プロジェクト→PCタイプ変更を選択します。

PCタイプ変更用画面がポップアップしますので、QシリーズCPUのタイプ(型式)を選択します。

ACPUのラダープログラムをQCPUプログラムに変換

PCタイプ変更画面にて、OKを選択すると、以下の警告が表示されますので、「はい」もしくは「半変更確認」をクリックします。

ユニバーサル高速タイプQCPU(QnUDVCPU)以外のQCPUは、GX Developerに対応しています。

変換後のプログラム形式はGX Developer形式になています。

GX Developer形式プログラムをGX Works2形式に変換

変換したプログラムは、GX Works2形式に変換しておいたほうが便利だと思います。

GX Works2→プロジェクト→他形式プロジェクトを開くにて、コンバート後のGX Developer形式のプロジェクトファイルを選択します。

↓以下の警告が表示されますので、「はい」を栗くすると、変換が完了します。

変換例

今回は以下のようなプログラムを作成してみました。

↓変換前のACPUのプログラムです。

何か所かA0を使用しています。

変換前のACPUのプログラム アキュームレータA0を使用している。

↓変換後のQCPUのプログラムです。(GX Developer形式)

変換後のQCPUのプログラム SD718

アキュームレータA0がSD718に置き換わっていることがわかります。

↓変換後のQCPUのプログラムをGX Developer形式からGX Works2形式に変換しました。

まとめ

MELSEC-Aシリーズとして設計されたラダープログラムファイルをMELSEC-Qシリーズ向けにコンバートする際、MELSEC-QシリーズにはA領域アドレスが用意されていいないため、Aシリーズのアキュームレータを置き換えるための特殊レジスタとしてSD718が使用されます。

SD718自体特に悪さをすることはないと思います。通常の汎用的レジスタとしてみなしておけばよいと思います。

参考