三菱電機製グラフィックオペレーションターミナルGOTシリーズのオフセット機能(間接参照機能)について説明します。
シーケンサー側のラダープログラム編集ときは、デバイスを間接指定するためにはインデックスレジスタZを使用しますが、タッチパネル編集ときはオフセット機能によりデバイスを間接指定することができるようになります。
オフセット機能を上手に活用することができれば、整列されている大量のデバイス値をモニタするような画面を簡単に作成できるようになります。例えば、I/Oモニタ画面やパラメータ設定画面、サイクルタイムなどの計測結果の履歴確認画面があります。
マニュアル
また、三菱GOTシリーズは、取扱説明書やユーザマニュアルの種類が多く、ページ数も膨大です。調べたい機能の仕様を調査したいときに、どの取説を読めばよいかさえわからない時があるかと思います。
今回のオフセット機能については、GOT側のマニュアルではなく、GOT編集ソフトGT designer3側に記載があります。
GT Designer3 (GOT2000)画面設計マニュアル→「6.設定,編集の基本」→「6.1 デバイスの設定」→「6.1.9 オフセット」です。
GT Designer3 (GOT2000)画面設計マニュアルについては、以下の三菱FAサイトにてダウンロードすることができます。(要会員登録)
オフセット機能とは
オフセット機能とは、画面内で使用されているオブジェクトに直接割り付けたベースデバイスを基準とし、これにオフセット値分だけ参照デバイスをシフトさせる機能です。
私がオフセット機能を初めて使用したのは、KEYENCE製タッチパネルVTシリーズを使用した設計を行った時でした。なおKEYENCE製タッチパネルでは「間接参照インデックス」と呼ばれています。
同様な機能が三菱電機製のGOTにも用意されておりますので、今回使用方法をまとめたいと思っております。
オフセット機能を使用することで、オブジェクトに設定したデバイスを間接的に指定することができるようになります。
上記図の例ですと
- オフセット機能を使用しない状態でのビットランプは入力リレーX0=ONの条件で点灯します。
- オフセット機能を有効にすると、データデバイスD0に格納された値だけ、アドレスをオフセットした領域を参照して点灯処理の判定を行います。
- ベースアドレス設定を入力リレーX=0とし、オフセットデバイス設定した、データデバイスD0=3の時は、ビットランプの参照デバイスは、入力リレーX3となります。入力リレーX3=OFFであるため、ビットランプは消灯します。
このように、オフセットデバイスに格納する値により,参照するデバイスを切り替えることができるようになります。
なおオフセット機能は、ビットランプ以外にも、ワードランプ、ビットスイッチ、数値入力/数値表示に対しても使用することができます。
オフセットデバイスのデータ形式について
オフセットデバイスのデータ形式は、符号付の16bit/32bit選択可能です。
つまりマイナス方向へのオフセットも可能になります。
オフセット機能を応用したデバイスモニタの作成
デバイスオフセット機能を使用して広範囲のデバイス値をモニタ出来る画面を作成してみました。
とりあえず、三菱MELSEC-Qシリーズの入力デバイス X0000からX1FFF(h)(10進表記8191)の全領域をモニタ出来るようにしています。監視対象となる入力デバイス点数は、8192点です。これだけのデバイスを、直接指定だけで記入するとひどく骨の折れる作業になるでしょう。画面一枚につき、16ビットモニタするとした場合、8192÷16=512枚の画面が必要になってしまいます。
デバイスモニタ
作成したデバイスモニタは以下の通りです。
青いデバイス切り替えスイッチを操作することで、左側のデバイス表示領域のアドレス値が切り替わり、16ビットづつデバイス値をモニタ出来るようになっています。
- 1画面に16ビットの「デバイス値」と「デバイスアドレス」のモニタを行います。
- 「右側の青いボタン」により、オフセットデバイス(D0)に値をセットしています。MELSEC-Qシリーズでは、入力デバイスが16進数と決められているため、16進数でキリの良い数値分だけオフセット表示しています。
- GOT側のスクリプトを使用しておりませんし、PLC側でも一切の処理を行っておりません。(スクリーンショット用に入力リレーの強制入出力操作だけを行いました。)
使用したGOT側の機能や各オブジェクト設定のポイントは以下の通りです。
・ビットデバイスランプ →オフセット機能
「右側の青いボタン」にて、オフセットデバイスD0の入力操作を行います。
D0は16進数で10(h)(10進数にて16)、100(h)(10進数にて256)、1000(h)(10進数にて4096)単位でオフセット量を調節できるようにしています。
・アドレス表示用数値表示→データ演算(加算)
オフセット値に合わせて、表示するアドレス値もシフトさせる必要があります。
各数値表記オブジェクトは、符号付16bitデータ[D0+1〰15]を16進数表記します。
ワードセットスイッチ→初期値条件、データ加算/減算
ワードセットスイッチにて、オフセットデバイス「D0」に格納される値を操作します。
D0は16進数で10(h)(10進数にて16)、100(h)(10進数にて256)、1000(h)(10進数にて4096)単位でオフセット量を調節できるようにしています。
16進 | 10進 | |
10h | 10 | 16 |
100h | 100 | 256 |
1000h | 1000 | 4096 |
また、入力デバイス表示領域を-1000(h)する場合は、以下の動作を行います。
動作モードをデータ減算とし、変化量を4096とします。
また、入力デバイス表示領域を+1000(h)する場合は、以下の動作を行います。
加算側の初期値条件を10進数で8176としています。
8176とすることで、入力デバイス領域の最終アドレス「X1FFF」までを表示できるようになります。
まとめと感想
三菱GOT2000のオフセット機能についてまとめてみました。
オフセット機能とは、オブジェクトに直接割り付けたベースデバイスを基準とし、これにオフセット値分だけ参照デバイスをシフトさせる機能です。
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