三菱電機製MELSEC-QシリーズシーケンサのI/O入出力ユニットの具体的な配線方法について説明します。
配線工事の際や電気回路図の中の展開接続図やI/O割付表の作成の際に参考にしていただけると幸いです。
I/O入出力ユニットとコモンについて
入力ユニットであれば、入力信号用の端子の他にコモン配線も必要になります。出力ユニットについても、出力信号用の端子以外にコモン配線も必要になります。
この際、プラスコモンやマイナスコモン、そして、ソース、シンクの考え方を理解していないと、せっかく配線作業を行っても、センサー類を配線しても反応しないなどのトラブルになりかねません。
I/O入力ユニットのコモンには、プラスとマイナスがあります。日本国内ではNPN出力タイプのセンサーを使用する場合が多いため、プラスコモンとする場合が多いです。これらについては以下の記事を参考にしてください。
I/ O出力 ユニット については、日本国内ではシンク出力とする場合が多いです。I/ O出力 ユニットのコモンの種類や考え方については以下の記事を参考にしてください。
端子台タイプとコネクタタイプ
I/O入出力ユニットには、端子台タイプとコネクタタイプの2つの種類があり、配線方法や必要になる関連部品の有り無しなど、配線方法の違いがあります。端子台タイプについては、ネジ端子用 については使用経験がありますが、スプリング端子用については使用経験が無く、また使用している設備を見たこともありません。
過去に、筆者の主観で比較的使用頻度のある入出力ユニットをまとめておりますので、こちらも参考にしてみてください。
それでは、端子台タイプとコネクタタイプの2つについて配線方法を確認しましょう。
端子台タイプの配線方法
端子台タイプのI/O入力ユニットQX40や出力ユニットQY41などの配線方法について説明します。
端子台タイプはI/Oの特徴は以下の通りです。
- I/O点数は16点です。少し少ないです。
- 最大で18本のケーブルを狭いユニット内の端子台に接続するため、やや配線しにくい
- I/O点数1点当たりのコストは、コネクタタイプよりも高い。
- 適合電線サイズは0.75sqまで。
I/O点数1点当たりのコストとは、ユニット価格をI/O点数で割ったものになります。
I/Oが32点必要な場合、16点の端子台タイプを2つ使用するよりも、32点タイプを1組使用するほうが安価であるという意味です。
端子台タイプの場合実は一つ一つのネジ端子に端子番号が割り付けられています。取扱説明書中に記載されているTB番号が端子台番号です。その用途は大きく分けて以下の2つです。
- TB1〰TB16:信号入出力用
- TB17、TB18:コモン用
信号入出力用の端子については、例えば、TB1へ接続する信号がX00というような割付になっています。
コモン用の端子については型式によって用途が異なりますので、その一覧を表にまとめます。
型式 | 種類 | TB1〰TB16 | TB17 | TB18 |
QX40 | プラスコモン 入力ユニット | 入力信号 | プラスコモン (+24V側) | 未使用 (配線不要) |
QX80 | マイナスコモン 入力ユニット | 入力信号 | 未使用 (配線不要) | マイナスコモン (0V側) |
QY40P | シンクタイプ 出力 ユニット | 出力信号 | +24V 側 | マイナスコモン (0V側) |
QY80 | ソース タイプ 出力 ユニット | 出力信号 | プラスコモン (+24V側) | 0V側 |
MELSEC-QI/O入出力ユニットの端子配列
端子台タイプの入出力ユニットには、2段になった18点の端子台が用意されています。実物のI/O入出力ユニットには、TB番号が刻印されていませんが、これらのTB1〰TB18までの端子の位置は以下ずの右のようなな割付になっています。
配線する際は、偶数番号の端子台から配線したほうが、作業性が良いです。
また、作業性を改善する為に、小さめの圧着端子を使用する方法もあると思います。
コネクタタイプの配線方法
コネクタタイプの入力ユニットQX41・QX42や出力ユニットQY41P ・ QY42Pの配線方法について説明します。
コネクタタイプのI/O入出力ユニットは以下の通りです。
- 使用するコネクタや変換端子台を使用者側で追加手配する必要がある。
- I/O点数1点当たりのコストは、追加コネクタを考慮しても端子台タイプよりも安価
コネクタタイプの入出力ユニットは、端子台タイプと異なり、ユニットへ直接配線することが出来ません。コネクタを一旦別端子台に変換するためのコネクタケーブルが必要になります。
この際のコネクタなのですが、ピンアサインを確認しながら半田付けする作業は辛いと思います。
専用のコネクタケーブル端子台セットを販売してくださるFA機器メーカーいくつか存在しますので、こちらを使用する場合の配線方法を説明します。 コネクタケーブル端子台セット の選定のポイントは
- 使用する入出力ユニットの型式(コネクタ形状)を確認する
- コネクタ端子台の端子接続方法や端子サイズをなどの仕様を決める
- 制御盤のレイアウト図からコネクタ用のケーブルの長さを選択する
です。
MELSEC-QI/O入出力ユニットに使用されるコネクタ
まず最初に、コネクタタイプの使用上の注意として、念のためユニットのコネクタ仕様を確認します。
型式 | 区分 | 点数 | コモン | コネクタ | |
QX41 | 入力 | 32点 | プラスコモン | 40ピンコネクタ | |
QX42 | 入力 | 32点 | プラスコモン | 40ピンコネクタ | |
QX81 | 入力 | 32点 | マイナスコモン | 37ピンDsubコネクタ | |
QX81-S2 | 入力 | 32点 | マイナスコモン | 37ピンDsubコネクタ | |
QX82 | 入力 | 64点 | マイナスコモン | 40ピンコネクタ | |
QY41P | 出力 | 32点 | シンク出力 | 40ピンコネクタ | |
QY42 | 出力 | 64点 | シンク出力 | 40ピンコネクタ | |
QY81P | 出力 | 32点 | ソース出力 | 37ピンDsubコネクタ | |
QY82P | 出力 | 64点 | ソース出力 | 40ピンコネクタ |
特に欧州向けに使用されるソースロジック仕様のQY81やQX81に使用されているコネクタが他と異なる点については要注意です。どういう理屈は不明ですが、このタイプだけ37ピンDサブコネクタが使用されています。
特に東洋技研製のワイヤリングパッケージにはこのコネクタがラインナップされていないため要注意です。三菱電機エンジニアリングではきちんと対応していますのでそちらを使用すると良いでしょう。
東洋技研
東洋技研は端子台の専門メーカです。今回説明するI/O入出力ユニット用のインターフェース端子台意外にも汎用的なネジ端子台やスプリングクランプ端子台の製造販売を行っています。
I/Oワイヤリングパッケージ
東洋技研のI/Oワイヤリングパッケージは中継ケーブルとコネクタ端子台がセットになっている商品です。個別手配しなくて済むので、部品選定、仕分け、発注の手間が少ないという特徴があります。
I/Oワイヤリングパッケージのカタログから選定すれば、特にコネクタのピンアサインやコネクタの勘合といった組み合わせについても特に考慮することなく、
- PLC側の入力ユニットの 型式
- ケーブル長
- コネクタ端子台の配線接続方法と配列タイプ
だけを確認して部品選定することが出来ます。
カタログについては以下のサイトからダウンロードすることが出来ます。
コネクタ端子台への配線接続方法については複数の方式の中から好きなものを選べるようになっています。
シリーズ | 端子台の端子 | |
PCN7 | サポートスクリュー式 (Y端子専用) | |
PCA7 | ネジアップ式 (Y端子、丸端子共用) | |
PCX | スプリングロック式 (棒端子・フェルール端子用) |
PCN7資料についてはY端子専用であり、丸端子を使用することはできないため選定の際は注意願います。
I/Oワイヤリングパッケージのコネクタ端子台の結線タイプ
具体的な例として、QX41やQX42を使用する際、PCA7-B- 1.を選択するとします。この場合以下の仕様の部品を選択することになります。
- コネクタ端子台:PCA7-1H40-TB34-M2-X
- ケーブル:KB40N-4F1H- 1 MB (ケーブル長:1m)
この際、端子台タイプは PCA7:ネジアップ式。で結線タイプはM2-X。つまり、M2:配列のX入力用の端子台となります。
コネクタ端子台の型式の末尾 ( M2-X )にて結線方法が異なります。
M1タイプは、若番00-0Fが上段です。老番10-1Fが下段という配列になります。またコモン配線用の[COM]端子は左側に用意されています。
M2タイプは、若番00-0Fが 下段です。老番10-1Fが上段という配列になります。またコモン配線用の[COM]端子は右側に用意されています。
NCは Non Connectionや No Connecting という意味です。何も接続する必要はありません。
I/Oワイヤリングパッケージのコネクタ端子台のコモン配線
I/O入力ユニットのCOM端子の接続先は
- マイナスコモンQX81であれば0V側を接続します。
- プラスコモンQX41であれば+24V側を接続します。(国内向け)
I/O出力ユニットの+V端子の接続先は
- ソースタイプ(QY82P)、シンクタイプ(QY41P,Y42P)ともに、 +24V側を接続します。
I/O出力ユニットの0V端子の接続先は
- ソースタイプ(QY82P)、シンクタイプ(QY41P,Y42P)ともに 0V側を接続します。
三菱電機エンジニアリング
三菱電機エンジニアリング社では三菱電機製FA製品の関連部品を幅広くラインナップしています。I/O入出力ユニット以外にも位置決めユニット用のインターフェース端子台も用意されています。
FAグッズの選定の際はカタログから選定を行うよりも、Webサイトからアクセスできる選定ツールを使用するのが便利です。
FAグッズ製品選定ツールから、コネクタ端子台とケーブルの型式を選定することが出来ます。
三菱電機エンジニアリングでは、東洋技研でのI/Oワイヤリングパッケージにて対応していない、QX81,QY81P向けのコネクタ端子台も販売しています。
WAGO
WAGO者はドイツに本社のある、端子台、コネクタのメーカです。
三菱電機用のI/O入出力ユニット向けの製品もラインアップしています。
特注品対応とのことですが、 X81,QY81P向けのコネクタ端子台も販売しています。
まとめ
- コネクタタイプを使用する場合や変換端子台を使用者側で追加手配する必要がある。
- I/O点数1点当たりのコストは、追加コネクタを考慮しても端子台タイプよりも安価
以上です。
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