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その他

CC-Link IEフィールドネットワーク Basicについて解説

三菱電機製MELSEC-Qシリーズシーケンサに、 Q03UDECPUQ03UDVCPU があります。

  • ユニバーサルモデルEthernet内蔵モデルが Q03UDECPU
  • ユニバーサルモデル高速モデルが Q03UDVCPU

となっております。

1つ目の仕様の違いは、後発の Q03UDVCPU の方が 03UDECPUよりもスキャンタイムが短い点です。もう一つ目の仕様の違いは、 Q03UDVCPUCC-Link IE Field Network Basicを内蔵しているという点です。

MELSEC iQ-FやRなど、標準的に CC-Link IE Field Basicを内蔵するシーケンサはいくつもありますが、CC-Link IE Field Basicとはそもそも何でしょうか?

解説してみます。

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CC-Link IE Field Basicとは

CC-Link IEフィールドネットワーク Basicとは、現状は三菱電機独自の省配線システムです。

高速制御が不要な小規模装置へ適用しやすいとされています。

これまで頻繁に使用してきたCC- Link との大まかな違いは以下の通りです。

CC- Link

  • CC-Link専用ケーブルを使用する。
  • 終端抵抗必要。ライン接続やT分岐が可能。

CC-Link IE Field Basic

  • 市販のEthernetケーブル を使用できる。
  • スター接続用に、汎用的なスイッチングハブを使用できる。
  • GOT表示器用などのEthernet通信とリモートI/O用通信を混在できる。(同じスイッチングハブを使用できる)
  • ライン接続不可。(子局同士をつなぐことが出来ない)
  • ローカル局無し。マスタ局(PLC)とスレーブ局(リモートI/Oなど)のみ。

特徴と注意点

気になった点をいくつかリストアップします。

Ethanetと混在可能

市販のEthernetケーブルと市販のスイッチングハブを使用できるため、低コストでネットワークを構築することが出来るとのことでした。

cc-link ie field basic
CC-Link IE Field Basic

普段PLCとGOTやPCを通信するために使用しているスイッチングハブを利用して、リモートI/Oと通信することが出来るようになるります。

ただし、CC-Link IE Field Basicはライン接続できません。複数の子局を使用する場合ほぼスイッチングハブは必須となると思われます。

なお、CC-Link IEフィールドネットワーク Basicに適用できるスイッチングHUBについては、以下のように、いろいろと細かく制約が書かれていますが、特に恐れることは無いと思います。

CC-Link IEフィールドネットワークBasic リファレンスマニュアルより引用

スイッチングハブに求められる各仕様をチェックします。

仕様意訳
100BASE-TXEthernetの転送速度の規格です。
オートMDI/MDI-X機能ストレートケーブル/クロスケーブルを自動判別する機能です。
家電量販店に売っているハブですら、
ほとんど搭載していると思います。
オートネゴシエーション機能通信速度を自動的に切り替える機能
100BASE-TXや1000BASE-T 等を自動認識し、
うまい具合に調整してくれる機能です。
対応しているハブは珍しくありません。
スイッチングハブ と
リピータハブ
スイッチングハブと商品名に記入されていれば、
それはもうスイッチングハブです。
スイッチングハブは、接続された機器へと
データの仕分けを行います。

その他に、スイッチングハブを選ぶ時の注意すべきとしては、

  • 制御盤内に収めるためにDINレール取付できる方が良い。
  • 電源はDC24Vの方が何かと都合が良い。
  • 動作温度に注意する。

一応、ミスミ製のスイッチングハブも以下の仕様を満たしております。

  • 100BaseT(X)
  • 自動MDI/MDI-X
  • 自動ネゴシエーション

それでも心配がある場合は、ほぼ純正と言えなくもない三菱電機システムサービス社の産業用スイッチングハブを使用する方法もあります。定価で1万円とちょっとですからそれほど高価ではありません。 商品紹介ページに、CC-Link IE Field Basic 対応と謳われております。

標準的にマスタ局を内蔵するCPUが多い

CPU内にマスタ機能が内蔵されているタイプを使用することで、別途マスタ局を動作しなくてもよいためコストメリットを出せる場合があります。

CC-Link IE Field Basicマスタ局を内蔵するCPUには以下のものがあります。

  • MELSEC-Qシリーズ ユニバーサルモデル高速タイプQCPU  Q03UDVCPUなど
  • MELSEC iQ-Rシリーズ   R04CPUなど
  • MELSEC iQ-Fシリーズ   FX5U-32MT/ES や FX5UC-32MT/Dなど
  • MELSEC-L シリーズ Ethernetポート内蔵LCPU L02CPU など

03UDECPU にはEthernetポートはついておりますが、 CC-Link IE Field Basic には対応していないため注意が必要です。

MELSEC-Qシリーズ ユニバーサルモデル高速タイプQCPU Q03UDVCPU

スター接続のみ。ライン接続できない

フィールドネットワークの配線形態を ネットワーク・トポロジー (network topology)や、単にトポロジー と呼びます。

CC-Link シリーズフィールドバスにもいくつかの種類がありますが、トポロジーに関する仕様が異なります。

通信規格トポロジー
CC-Linkライン接続
T分岐可能
CC-Link /LT ライン接続、T分岐可能
(支線の 3 段以上の分岐はできません)
CC-Link IE ライン接続とスター接続の混在が可能
(専用スイッチングハブでの分岐可能)
カスケード接続段数は最大20段
CC-Link IE Field Basic スター接続のみ
(スイッチングハブでの分岐可能)

CC-Link IE Field Basic は唯一、ライン接続が出来ない点に注意が必要です。 CC-Link のように子局同士を直結することが出来ません。当然CC-Link IE Field Basic 対応のリモートI/OモジュールにはRJ-45コネクタが1つしかついておりません。

CC-Link IE Field Basic は、Ethernet規格を元に作られているため、スイッチングハブとスイッチングハブを接続するようなカスケード接続(多段接続)も可能だとは思います。ただし、実際に試してみたことがありません。また、HUBによって、接続段数制限があるはずです。事前に検証してから、本採用するほうが良いかもしれません。

インバータ駆動も可能

FR-E700-NE は たEthernet通信機能を内蔵したインバータです。 CC-Link IE Field Basic 接続にてPLCと接続し、リモート操作が可能になります。

リモートレジスタの割付は、CC-Linkを使用したときと、ほぼ同じです。

注意点として、-NE仕様のインバータは単価が高く、長納期である点です。

CC-Link IE Field Basic 対応リモートI/Oユニット

CC-Link IE Field Basic 対応リモートI/Oユニットは以下の通りです。世に出てからかなりの年月が経過しておりますが、サードパーティー製も販売差有れている気配がなく、2020年の冬・春時点では非常に乏しいラインナップとなっております。

ライン接続できないため、Ethernet接続ポートが1つしかありません。
よって、CPU本体と直結するか、スイッチングハブと直結するしかありません。

入力ユニット

型式配線方式定格電圧入力点数
NZ2MF2S1-32D スプリングクランプ
端子台
DC24V32点
NZ2MFB1-32D ネジ端子台 DC24V32点
NZ2MFB2-16A ネジ端子台 AC100~120V16点

出力ユニット

型式配線方式出力定格電圧入力点数
NZ2MF2S1-32T スプリングクランプ
端子台
ソース出力DC24V32点
NZ2MF2S1-32TE1 スプリングクランプ
端子台
シンク出力DC24V32点
NZ2MFB1-32T ネジ端子台 ソース出力AC100~120V16点
NZ2MFB1-32TE1 ネジ端子台 シンク出力
NZ2MFB2-16R ネジ端子台 接点出力

その他

三菱電機FA 公式YouTubeチャンネルでも紹介されておりました。いきなりユーザマニュアルを読み進めるより、動画で予習してからの方が理解が早く効率的であると思います。

まとめ

  • CC-Link IE Field Basic について調べてみました。
  • CC-Link IE Field Basic には、ライン接続できない。
  • GOT用に使用しているような汎用的なEthernetケーブルにてリモートI/O制御ができる。

反省点:カタログに書いてあるようなことしかまとめられておりません。