FA装置の設計作業の分担
FA装置・省力機器・自動装置の設計職は機械設計と電気設計に分けられる場合が多いです。
本人の希望や運や適正にもよりますが、機械系の学校を卒業された方が、機械設計を担当し、電気情報系の学校を卒業された方が電気設計を担当する傾向があるようです。
機械設計は設備の筐体、駆動系といった全体的な構造設計を行い、電気設計は制御全般、特にシーケンス制御を行います。
それぞれ専門化されているため機械と電気両方の設計を高度に行える方は本当にすごいと思います。
機械設計と電気設計の連携
基本的には機械設計が先行して設計を進めて、後から電気設計のハード設計が続き、最後に電気設計のソフト設計に取り掛かる印象です。設計期間中は何度も機械設計と電気設計は打ち合わせを繰り返し、構想を進めます。
機械設計が先行する理由としては、最初の初期設計として、大まかなレイアウトや機械動作や筐体の設計を行い、限られたフロアスペースや予算、制作期間の中でサイクルタイムや精度などの要求を満たせる機械自体がそもそも成り立つかどうかアタリをつけるためです。
また、機械設計と電気設計が連携して進めなければならないパートも無数にあります。具体的には原価計算、設備の動作順序などの仕様決め、リスクアセスメントからセンサー、サーボ、制御盤位置、操作盤位置、端子箱や配線・フレキの配管設計、銘板類などの細々したものまで様々です。
電気設計を担当する立場からはボールネジや減速比のピッチ・ギア比は知っておかねばならないですし、すべてのモータ類もサーマルリレーやインバータの設定確認のために、型式確認したいです。センサーやソレノイドバルブ類は機械設計が部品選定の終わったタイミングを見計らい型式を教えてもらいます。また大まかなレイアウトがおおよそ決まりつつある絶妙なタイミングで配線ルートを確認し中継端子箱の取り付け位置を相談します。
このように電気設計と機械設計はチームとなり、互いに協力し、時には意見をぶつけ合いながら一つの機械の設計を進めます。
機械設計
機械設計のアウトプットとして
- 2DCAD/3DCADによる機械モデリング
- 筐体設計
- 油圧空気サーボ等の圧駆動機構の計算・設計
- 油圧、空気圧などの配管図
- ガード・ドア・安全柵などの安全設計
- 部品選定と部品表作成
- 部品図作成
- メンテナンス資料作成
- 組立て資料作成
などがあります。
電気・ソフト関連の設計を担う電気設計は制御設計、電気制御設計など会社や人によっては呼び方が変わる場合がありますが、やるべき事はあまり変わらないかもしれません。
電気設計はハードウェア設計とソフトウェア設計に細かく分類することができます。ハード設計ではPLC周辺機器の選定と配線の設計を行い、ソフト設計ではラダー言語にてPLCのシーケンス制御プログラムを作成します。
設備の規模によっては複数の設計者が分担する場合もありますし、ひとりで両方を担当する場合もあります。基本的に新入社員や若手社員がハード設計を担当しつつ、ベテランや先輩社員がソフト設計しつつ電気設計全般を統括して面倒を見ることが多いかもしれません。
電気ハード設計
ハード設計では主に以下の設計を行います
- 電気回路図
- 電気制御部品の選定と部品表の作成
- 部品図・板金図作成
- 原価計算
- 制御盤や操作盤のレイアウト設計
- ハーネス設計
電気ソフト設計
ソフト設計では以下の作業を行います。
- シーケンス制御プログラム作成
- 画面ソフト(タッチパネル)の作成
- デバイスマップ作成
- サーボパラメータ調整
- 立ち上げ・デバッグ作業
- 操作説明書、操作指導
簡単に説明してみました。
ソフト設計とハード設計
機械設計やハード設計は一度組立てが始まってしまうと変更が難しいですが、ソフトウェアには変更が容易と言う特徴があります。
そもそも変更が容易というのがPLCのメリットです。
だからといって、ハード面で発生した不具合を全てソフトで吸収できるものではありません。
ソフトウェアの中身は誰もが見えるわけではありません。
お互いに協力して設計作業を進めること、互いにリスペクト出来るように研鑽し合うことが大切です。
以上です