インバータ通信機能とは
インバータ通信機能とは、RS-485シリアル通信を利用し、三菱インバータを三菱電機製FXシーケンサにて制御するための機能です。
三菱インバータプロトコルを利用することで、シーケンス制御にてインバータのパラメータの書き換え、起動/停止や運転監視などを行う事の出来る便利な機能です。
三菱FXシリーズと競合するKEYENCE製KV-Nanoには無いFXシーケンサの独自機能となっております。
仕様検討や部品選定、配線、ソフト設計を行う際に、CPU側とインバータ側の取説を見ながら苦労した覚えがあります。
そこで、今回自分自身への備忘のために、三菱シーケンサFX-3GシリーズとFR-E700シリーズとのインバータ通信機能についてまとめてみました。
なお、インバータ通信機能は、FX3Gだけではなく、FX3S、FX3Uシリーズ、さらには、最新のMELSEC iQ-F (FX5U)も対応しています。適用可能なインバータはFR-E700だけはありません。
とてもすべてを書ききることはできませんので、詳細はFXシリーズユーザマニュアルの通信制御編の「E.インバータ通信機能」を参照願います。配線やプログラミングについて細かく記載されています。マニュアルなどは三菱FAサイトよりダウロードすることが出来ます。
なお、インバータ側のマニュアルついては、応用編を参照する必要があります。「通信運転と設定」や「RS-485通信の初期設定と仕様」の章を参照するとよいでしょう。
それでは、三菱インバータをPLCから制御する方法について解説してみたいと思います。
インバータ通信機能を使用する理由
インバータ通信機能を使用することにより、FREQROL-E700やD700シリーズなどの汎用インバータの速度変更や起動・停止などを行うことができるようになります。 さらには、インバータの出力周波数のモニターや加減速時間の調整なども可能です。これらのインバータの配線には、インバータ正面にあるPUコネクタ(RJ-45)と市販のパソコン用LANケーブルを使用することもできるため、お手軽です。
ただし、接続台数には制限があり、MELSEC-FシーズのFX3GやFX3U CPUでは最大8台となっております。なおMELSEC-IQ-FシリーズFX5U CPU等では最大16台と機能アップしています。
多段速度制御と通信制御の違い
ただ単に、インバータの運転速度の切替を行いたいという事であれば、インバータの外部制御入出力端子に用意されている多段速指令を使用するという手もあります。
多段速指令指令とは、制御入力信号を使用してインバータの運転速度を切換える機能です。
しかし、多段速指令は速度変更というよりも速度の切替でしかありません。あらかじめインバータ内にパラメータ設定しておいた速度の中から一つを選択することになるため、 無段階に細かく調整する用途には向いていません。このような場合タッチパネルにて変更できるようにしておくのが良いでしょう。
また、切替速度点数が多かったり、インバータの台数が多い場合は、I/O点数を食ってしまうという問題もあります。これに対し、インバータ通信機能は、省配線であり、PLC側にてインバータの運転速度の指定を行う事が出来るようになります。
シーケンサ側オプションボード
FXCPU側に、通信機器を追加する必要があります。
FXシリーズユーザマニュアルの通信制御編の「適用FXシーケンサと通信機器」を参照してください。
FX3G-485-BD-RJ
FX3G-485-BD-RJはMELSEC-FXの正面に取り付けるボードタイプの通信機器オプションです。以下の写真は、FXシーケンサ本体正面にFX3G-485-BD-RJを取り付けた状態です。
オプションボードには、端末抵抗切替スイッチとRS-485通信用のEthernetコネクタ接続用のポートが用意されています。
- RJ-45規格のコネクタを使用している市販のEthernetケーブルを使用して配線することが出来ます。
- Ethernetケーブルはストレートタイプが必要です。
- インバータ側のPUコネクタにもRJ-45ですので、配線が非常に簡単です。
ただし、インバータ側にも終端抵抗を接続する必要があるため、ケーブル1本で地直結できるわけではない点に注意が必要です。
FX3G-485-BD-RJを使用するのが良いと思います。
FX3G-485-BD
RJ-45タイプのコネクタではなく、RS-485通信用の信号線を端子台接続するタイプのオプションボードです。
RJ-45コネクタを使用せず、端子台接続したい場合に使用するのだと思います。
この場合もダイヤトレンド製のケーブルが便利だと思います。
分配器
配線のためには、分配器が必要です。
八光電機製作所製
インバータ通信機能用のユーザマニュアルには、八光電機製作所製の分配器 BMJ-8-28N が紹介されています。以下の以下のサイトにて外形サイズの確認をすることができます。
ダイヤトレンド製
八光製でも全く問題はないのですが、お勧めは、以下のダイヤトレンド株式会社製の分配器です。なぜユーザマニュアル側にダイヤトレンド製が紹介されていないのかが不思議です。
3ポートは以下の通り
三菱インバータ用 RS-485分配器DMDH-3P
10ポート品もラインナップされています。10ポート品はDINレール取付可能で、終端抵抗も内蔵しています。
三菱インバータ用 RS-485分配器DMDH-10P
終端抵抗(ターミネータ)
RJ-45(PUコネクタ)に対応した終端抵抗についても、ダイヤトレンド社製品を使用することができます。
型式:D4CAB-EA-A 100オーム 1/2W
インバータ側の配線と設定
FR-E700は、インバータ正面にPUコネクタが用意されています。
インバータ側PUコネクタ通信パラメータ
インバータ側でも当然通信関連のパラメータ設定が必要になります。
通信局番→Pr117
通信フォーマット→Pr118,119,120,121,122,123,124
まとめ
- FXシリーズシーケンサには、シリアル通信機能を使用してインバータの起動、パラメータ書き換えなどの操作を行う機能が要されています。
- 通信制御命令を使用することでプログラミングもお手軽に行うことができます。
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配線や分配器については本記事にてまとめました。
シーケンサとインバータのパラメータ設定、シーケンサ側にて使用する応用命令については次の記事を参照願います。
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