リレー(電磁継電器)や電磁開閉器のような 開閉機器には寿命があります。
永久的に使用できるものではなく、いつかは破損します。
このため、特にリレーについては、配線用ソケットとリレー本体が別々になっていることが多く、リレーの交換を行いやすい仕組みになっています。
とはいえ、納入早々に装置自体が動作不良などの故障してしまうことを避けるために、 リレーの耐久性を考えたうえで、部品選定をしなければなりません。
リレーの寿命の考え方について説明します。
機械的寿命と電気的寿命
リレーは機械的に故障することもあれば、電気的に故障することもあります。それぞれ別々に耐久性が考えられています。
リレー内部ではコイル(電磁石)が機械的に駆動することで、接点開閉動作を行います。
開閉によりリレー内部の部品が摩耗したりするので、負荷電流がゼロだったとしても、長く使用し続けるとリレーはやがて機械的に破損します。
電気的な故障の例としては、接点の溶着があります。
ただし、 通常のリレーは電気的な寿命よりも機械的な寿命の方が長くなるように設計されています。
よって電気的寿命を考慮してリレーを選定します
リレーの負荷となる電磁弁などの動作頻度に合った寿命のリレーを選定する必要があります。
リレーの耐久性曲線
リレーの電気的な寿命は接点に流れる電流が大きいほど短くなる傾向にあります。また、単位時間あたりの開閉頻度が高ければ高いほど耐用年数が下がります。
このような関係をグラフにしたものを“耐久性曲線”と呼びます。
誘導性負荷と抵抗負荷
寿命曲線 はリレーの負荷の種類によって特性が変わります。
- 誘導性のある負荷の場合→誘導性負荷
- 抵抗だけの場合 →抵抗負荷
誘導性負荷とは ソレノイドバルブであったり、電磁開閉器のコイル のような電磁石のことです。一般的にリレーの負荷はであったりする場合がほとんどです。
一方で、代表的な負荷抵抗としてはヒーターが挙げられます。
DC誘導性負荷の場合接点が閉じ、負荷に電流が流れる際に、瞬間的な大きな逆起電力・突入電流が生じます。
この時の逆起電力はサージ電圧とも呼ばれます。
サージ電圧は定格電圧のおよそ10倍程度といわれるほど大きい電圧です。
リレー接点にダメージを与え、寿命を低下させる原因の一つになります。
実際にリレーの寿命を見積もってみる。
MY2リレー
最も有名で普及しているリレーともいえるのが、オムロン製のMY2シリーズのリレーです。
動作回数が100×10の4乗→100万回となるときの負荷電流は、
DC24V抵抗負荷の場合、1.8A前後
DC24V誘導負荷の場合、 0.8A程度
と負荷の種類によって負荷電流に大きく差が出ました。抵抗負荷の場合は1.8Aまで流せますが、誘導性負荷の場合0.8Aまでしか流せないと言うことになります。
反対に、 DC24V 2A 抵抗負荷の場合の動作回数は約90万回
DC24V 2A誘導負荷の場合の動作回数は50万回となります。
備考
なお、誘導性負荷の表現方法がACとDCに違いがあります。
ACすなわち交流回路の場合。COSΦ=0.4の注記です。これは力率が0.4であるという意味です。誘導性負荷における、全体のインピーダンスと抵抗値の比率を表します。
DCの場合は力率ではなくL/R=7msとの注記です。 L/R は時定数です。 誘導性負荷における、誘導性インダクタンスLと抵抗値Rの比率が7:1000であるという意味です。
LY2リレー
動作回数が100×10の4乗→100万回となるときの負荷電流は、
DC24V抵抗負荷の場合、6A前後
DC24V誘導負荷の場合、2.5A 程度
DC24V 2A 抵抗負荷の場合の動作回数は正確に読み取れませんが、約200万回
DC24V 2A誘導負荷の場合の動作回数は110万回となります。
LYとMYの寿命比較
以上よりLYリレーの方が耐久性に優れていることがわかります。
開閉頻度が特に多い場合や、負荷電流が大きい場合は、MYリレーよりも、LYリレーを使用するのが良いでしょう。
まとめ
- リレーは消耗品です。
- 負荷の電流値と開閉頻度(使用頻度)によって、リレーのシリーズを選定します。
- OMRON製のリレーの場合、MYシリーズより、LYシリーズの方が高容量、長寿命です。
以上です。
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