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PLCハード設計

【ソースタイプとシンクタイプ】PLC出力ユニットの選定について

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I/O出力ユニットとは

I/O出力ユニットとは、 PLCにて表示ランプ、リレー、電磁弁などの動作機器(負荷)のON/OFF制御を行うための部品です。これらの動作機器と出力端子間の電気配線には、コモン端子、制御電源と出力端子の配線をそれぞれ行う必要があります。

ラダー言語により作成されたシーケンス制御図内の出力命令により出力ユニット内の接点が閉じることで、出力ユニット内部でコモンと出力端子が導通し、 表示ランプ、リレー、電磁弁などの動作機器に起動信号が送られる仕組みになっています。

出力ユニットにはリレー接点出力タイプと、トランジスタ出力タイプなどのいくつかの種類があります。トライアック出力仕様の出力ユニットも存在しますが、使用したことはありませんし、使用されている盤も見たことがありません。もしかすると特定の業界のみにぶっささる仕様なのかもしれません。

プログラミングをする上では、あまり違いがありませんが、ハードウェア上の違いがあります。トランジスタ出力タイプ を使用することが多いです。

トランジスタ出力タイプ を使用することが多い理由には、

  • リレー出力は、AC(交流)対応可能だが、制御回路にはDCが使用される時の方が多い
  • トランジスタ出力の方が単位I/O点数当たりの単価が安い
  • トランジスタ出力の方が長寿命(ON-OFFの耐久回数が多い)
  • 省スペース
  • 通常のリレー・ランプ・ブザー類であれば、トランジスタ出力で充分制御可能
  • さらには、小電流タイプであれば空気圧電磁弁でさえも、トランジスタ出力で直接制御もできる

などがあると思われます。

大きい接点容量が必要な時や交流回路の開閉をしたい時だけ、部分的に電磁リレーや電磁開閉器を使用すればよいのです。リレーが故障したときは、故障したリレーだけを交換できるため、経済的です。

リレー接点タイプが必要とされるのは、AC回路を直接PLCで制御しなきゃいけない時が考えられますが、ごくまれなことだと私は思います。

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出力ユニットのソースタイプとシンクタイプ

トランジスタ出力タイプのI/O出力ユニットには、PNPとNPNの2種類があります。選定の際は注意が必要です。

  • NPNタイプはシンク出力です。主に国内向けで使用します。
  • PNPタイプがソース出力です。主に欧州向けで使用します。

NPNとPNPタイプについては、以下の記事にて詳細な解説をしていますので、参考までに読んでみると勉強になるかもしれません。

I/O入力ユニットやCC-Link用の入力ユニットには、プラスコモン/マイナスコモンの切替可能なものが多いですが、I/O出力ユニットには、ソース/シンク切替可能なタイプはめったにありません。部品を発注してしまうともう後戻りできないため、選定の際は客先の要求仕様や自社の社内設計基準をよく確認する必要があります。

また、プラスマイナスの極性を理解し正しく配線しないと、ソフトウェア上では出力ONしているのにハードウェア上でONせず、接続した負荷が動作しないといったトラブルが発生します。

MELSEC-Qシリーズの出力ユニット

MELSEC-Qシリーズの場合もリレー出力とトランジスタ出力タイプ(ソース出力とシンク出力)用などのラインナップがあります。

代表的なものだけピックアップしました。

型式出力点数出力タイプ 標準価格
QY1016点リレー出力 ¥26,000
QY40P16点 トランジスタ出力
シンクタイプ(国内向け)
¥19,000
QY8016点 トランジスタ出力
ソースタイプ(欧州向け)
¥26,000

MELSEC-Qシリーズ のその他のランナップについては以下を参考にしてください。

ソースタイプ出力とシンクタイプ出力に価格差があります。

定価ベースでの比較になりますが、ソースタイプよりも、シンクタイプが安価です。ミスミなどで簡単に小売り価格を調べても、やはりシンクタイプの方が安価です。

この原因までは不明ですが、この傾向はQシリーズのみのようで、FXCPUではソースシンクで価格差は有りませんでした。

またカタログなどの資料は下記よりダウンロード可能です。

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シンクタイプQY40Pの配線例

端子台タイプの16点出力ユニット QY40P は、シンクタイプのトランジスタ出力ユニットです。

シンクタイプですので、負荷接続時の電流方向は、負荷側から出力ユニット側へです。

負荷として 電磁リレーやソレノイドバルブ(電磁弁)を使用する場合には以下の点に注意が必要です。

①負荷側のコイルの極性

リレーや電磁弁のコイルには、プラス/マイナスの極性がある点に注意が必要です。コイルのマイナス側の端子を出力ユニットに接続します。プラス側の端子をプラスコモン(+24V側)に接続します。

②コイルサージ吸収ユニット

負荷にリレーを使用する場合、コイルサージ吸収ダイオード付き、ダイオード付き品を選定しましょう。コイルは誘導性の負荷であり、導通時に大きな逆起電力(サージ電圧)が一瞬発生します。

高価な出力ユニットを破損させないためにも、気をつけましょう。オムロン製のMYリレーであれば、MY2-ND2でコイルサージ吸収用ダイオード付きとなります。

③負荷の容量

トランジスタ出力タイプのI/O出力ユニットは、リレーと比較すると、最大負荷電流が小さいです。これは、小さい電流しか流せないということです。消費電流の多い、油圧電磁弁や電磁接触器などはトランジスタで直接駆動でできません。

参考回路図

参考までに簡単な絵を描くと以下のようになります。

負荷側から出力ユニット側へと電流が流れます。

まとめ

  • トランジスタ出力タイプのI/O出力ユニットの使用機会はおおい
  • トランジスタ出力タイプのI/O出力ユニット にもNPNとPNPタイプが存在する
  • 負荷となるコイル・電磁弁の極性に注意する。
  • コイルにはコイルサージ回路のあるものを選定する。
  • 負荷の容量には注意し、出力ユニットの定格を超えないように、消費電流を確認する。