部品後付けのために電動工具で中板に部品取付用のタップ穴を開ける際、どうしても切屑(キリコ・鉄粉)が飛散してしまいます。これらの切屑が周囲の電気機器・ケーブルへ付着することを防止するために、テープ・ビニール袋等を駆使し、養生(ようじょう)を行うのが一般的です。
しかし、この養生作業は非常に厄介で手間がかかるものです。
場合によっては、ケガキと穴あけ作業よりもこの養生の取付取り外しのほうに時間がかかるかもしれません。また、養生を行う際にはゴミも大量に発生してしまいます。
そこで、今回はこの養生作業の手間を削減するアイテム、「切屑飛散防止器具」「切屑カバー」を紹介したいと思います。
本記事では実際に使用したことのある2種類の切屑飛散防止カバーの特徴や使用上の注意点をまとめてみました。
切屑の発生と養生
既存の改造工事を行う際や制御盤に部品を後付けする際などに、中板に部品取付用のタップ穴を開ける場合があります。この時特に注意しなければならないのが切屑の飛散です。
ドリルによる穴加工時には粉末状の鉄粉が発生しますし、タップによるねじ切り加工時には、短いひげ状の切屑が発生します。その他穴あけ時にタップオイル塗布すれば油が飛び散ることもあるかもしれません。
これらの切屑類が飛び散った場合、制御盤を汚してしまいます。
また、既存の電気機器に付着した場合、機器の故障の原因になる可能性があります。特に、インバータ・PLC・サーボアンプ・パワーサプライ等には排熱スリットがついています。ここを通り、部品内の見えない奥深くまで切屑が入ってしまうことが考えられます。
または、ダクト内に切屑が入り込んだ場合、ケーブルの絶縁被覆を傷つける恐れもあります。
これを防ぐために、養生作業が必要になります。穴開けを行う部分を中心に、穴を開けたポリ袋をシート代わりに使用したり、養生テープを張り付けたりして、周囲の電気部品に切屑が付着しないようにします。
市販の切屑飛散防止カバー
【ネグロス電工】 切屑飛散防止器具 CGT1
ネグレス電工は、電気・空衛設備資材の製造・販売を行う企業です。
ネグロス電工からは、アイデア商品として切屑飛散防止器具「CGT-1」が発売されております。
メーカ様の商品紹介ページは以下のようになっています。
以下のような3点構成です。
特徴は以下の通りです。
・カバー本体が金属製で頑丈である。
・付属のリングマグネットが金属カバーでおおわれており頑丈
・リングマグネットの磁力の強さが強すぎず弱すぎずちょうどよい。
・セットした際にドリルの先端が見えない。
・高価である。
特にのちに紹介するSK11製のダストカバーの約3〰4倍は高価な部品となっております。しかし踏んでも割れることはないほどには、頑丈なつくりになっています。(踏みつけたことはありませんが。)
なお、この切屑飛散防止器具「CGT-1」はモノタロウからも購入することができます。
【SK11(藤原産業)】 ダストカバー 鉄粉用 SDC-200
SK11は藤原産業のスタンダードブランドとのこと。
ドリルビット等の先端工具や腰袋などにもSK11ブランド品が多数存在します。
SK11からは鉄粉用ダストカバー「SDC-200」が発売されています。
裏面は以下の通りです。
製造元が日本磁石工業株式会社とあり、販売元が藤原産業株式会社となっておりました。
対応サイズは、Φ8とあります。
メーカ様の商品紹介ページは以下のようになっています。
特徴は以下の通りです。
・安価
・本体が透明の樹脂であるためドリル先端が良く見える。切屑の出方もよく見える。
・本体が割れやすい。
・付属リングマグネットも細くやや割れやすい。
リングが小さい割に磁力がきついため、誤って磁石だけを鉄板に着けてしまった場合、はがすのが面倒です。
SDC-200もモノタロウから簡単に、入手することができます。
ダストカバー使用時の注意事項
SK-11・ネグロス電工ともにおおよそは、同じような構造の部品です。
使用する際の注意点は以下の通りです。
・マグネットリングに鉄粉が付着しないように気を付ける。
・ねじ切り作業を電動工具で行う際は、タップが強い力で中板に食い込んでいきます。この際、電動工具先端で、カバーをつぶしてしまう可能性があります。
・プラスチックカバーとマグネットが紛失しないように注意しましょう。一緒に袋に入れて保管するのが良いと思います。。
制御盤内での穴あけ作業時に気を付ける事。
制御盤内で穴あけ作業をする際には、切屑飛散以外にも、気を付けなければならないことがあります。
セルフKY(危険予知)を心がけて作業しましょう。
- 制御盤への動力が遮断されていることを確認すること。(安全第一です。)
- 穴あけ時には、保護メガネを着用すること。作業後には指や腕に切屑が付着しているかもしれません。汗が目に入ったとしてもしても決して目をこすらない事。
- 電動工具を使用する際いきなり穴あけをするのではなく、事前に無負荷で少し空転させ工具の動作チェックを行う。(回転方向・回転数・刃具の固定の確認等)
- 狭い制御盤の場合は適切な作業姿勢を確保できないかもしれません。回転部付近に指を使づけすぎないようにしましょう。
- 下穴を開ける際、ドリルが中板を貫通する際は大きな力がかかります。貫通付近ではドリルを押す力を少し弱めるとよいでしょう。
また、安全面以外の注意事項としては
- ドリルを中板に垂直となるようにする。
- 穴あけ後にバリが出た場合、面取りを行うこと。
- タップは折れやすいです。ねじ切りを行う際は、こまめに切屑を排出させること。慎重に行うこと。
まとめ
制御盤内で穴あけ作業をする際は、切屑防止のために養生作業を行う必要があります。
この際、市販されている切屑飛散防止カバーを使用すると非常に便利です。ゴミも減らせますし、時短になります。
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