SUS製のSioコントローラはPLCを使うほどではない簡単な装置やジグを制御するのにちょうどよい制御コントローラです。
しかし、 Sioコントローラを使用するためには、FA電気設計者が普段より使い慣れているラダー図を使用するのではなく、SUS独自言語にてプログラミングを行う必要があります。
シーケンス制御用のプログラミング言語として広く普及しているラダー言語とSiO-Programmer言語を比較しながら、タイマーの使用方法をまとめてみました。
今回はシーケンス制御の基本である時限制御に使用されるタイマーについて解説してみたいと思います。タイマーの代表的な使用方法として以下の4つの機能について考えてみたいと思います。
これら4つのタイマーをSioコントローラにて実装してみます。
Sio-Programmerのタイマ機能
Sioコントローラには、「ON/OFF繰り返しタイマー」とトリマーによる「可変タイマー」が用意されています。
トリマー可変タイマー
Sio-Programmer本体正面には、タイマー設定用のトリマーが用意されています。
このタイマーを使用することで、プログラミングツールを使用しなくても、現場にてタイマーの調整を行うことができるようになっています。プログラミングツール内ではT1とT2が可変タイマーす。
タイマー設定値については、Sio-Programmerにて最大値を設定可能です。
ON/OFF繰り返しタイマー
Sio-Programmer内にON時間OFF時間を指定可能な ON/OFF繰り返しタイマーが3つ用意されています。プログラミングツールのみでしか変更することができませんが、簡単にフリッカ出力信号を作り出すことができるようになっています。
ランプの点滅処理・エアブローやコンベアの間欠動作などに、気軽に使用することができます。
オンディレー(On Delay)
それでは、タイマー機能について具体的な解説を始めたいと思います。
もっとも簡単で分かりやすいタイマーの用途は、オンディレー用途だと思います。
オンディレー動作とは、タイマーへの入力をONにしてから、設定時間経過後に出力がONする動作です。限時動作瞬時復帰動作と呼ぶ場合もあります。
使用例は以下の通りです。
- 押しボタンスイッチを一定時間以上長押しすると起動する。(誤操作防止)
- センサーの入力信号の確認する。(いわゆる安定タイマー)
- 異常状態が一定時間継続した場合にアラーム発報する。
- 作業を開始してから、一定時間経過しても完了しない場合にアラーム発報する。
などです。
オンディレー出力動作をタイミングチャートにて記述すると以下のような図になります。
OUT1がオンディレー出力です。
オンディレー出力回路をラダー図にて記述すると以下のようになります。
次に、このオンディレー出力を、SioProgrammerにて実装してみます。
SioProgrammer には、出力のON条件とOFF条件を個別に設定するといった特徴があります。
今回の場合、オンディレー出力「OUT1」を以下のように設定します。
- OUT1のON条件は、入力「IN1=ON」の状態が「T1」秒間継続すること。
- OUT1のOFF条件は、入力「IN1=OFF」となること。
「T1」が可変トリマーです。固定値としてタイマー秒数を直接記入することも可能です。
オフディレー(Off Delay)
次にオフディレー用途です。
オフディレー動作とは、タイマーへの入力がOFFになってから、設定時間経過後に出力がOFFする動作です。瞬時動作限時復帰と呼ぶ場合もあります。
設定時間経過中に、再度タイマー入力がONすると出力がONします。
使用例は以下の通りです。
- 自動ドアや照明など人感センサーのように、無人になりしばらくしてからドアを閉める場合
- 放熱用のファンなど運転停止後も一定時間は動作させるもの
- ワーク有り無し検出センサーなど、ワーク無し確認用
等があります。
オフディレー出力動作をタイミングチャートにて記述すると以下のような図になります。
入力信号「IN1」が「ON」するのと同時に出力「OUT1」がONします。
その後、「IN1」が「OFF」した後も「OUT1」はONしたままです。
タイマー設定時間後に、「OUT1」がOFFになります。
オフディレー出力回路をラダー図にて記述すると以下のようになります。
次に、このオフディレー出力を、SioProgrammerにて実装してみます。
「OU1」のON条件は非常に簡単です。しかし、オフディレー出力の場合、OFF条件が難しいので、一旦「FLAG」を一つ使用することにします。[FLAG]がONしたときに、オフディレー出力「OUT1」を落とすことにします。
次に「FLAG」がONする条件を考えてみます。ちょうど上記のラダー図のタイマー「T1」が今回の「FLAG」に相当します。ラダー図を参考に、OUT1がON かつ IN1がOFF の状態がタイマ設定時間だけ継続したときに、FLAGがオンするとちょうどよさそうです。
- 入力IN1がONすると、直ちにOUT1がONする。
- OUT1がON かつ IN1がOFF の状態がタイマ設定時間だけ継続すると、フラグ1がONする。
- フラグ1がONすると、OUT1がON→OFFする。
フリッカ出力 (Flicker)
フリッカ(Flicker)とは点滅という意味です。定期的にON/OFFを繰り返すような出力です。ランプの点滅やエアブローやコンベアーの間欠運転を行う際に使用されます。
タイマーを1つだけ使用する場合は、フリッカ出力にもON時間とOFF時間が同じとなります。
タイマーを2つ使用すると、ON時間とOFF時間をぞれぞれ設定することができるようになります。
リレーを使用するハードウェアシーケンス回路では、シングルタイマとするかツインタイマとするかで部品価格の違いが生じますが、ソフトウエアシーケンス回路では、ほぼ無尽蔵にタイマー機能を使用できます。よって、プログラミングする際はON/OFFどちらも調整できるようなツインタイマ回路を作成してみたいと思います。
なお、Sioコントローラには、ON/OFF繰り返しタイマーとトリマーによる可変タイマーが用意されています。
可変タイマーT1/T2をしようして、ON/OFF繰り返し出力を行うためには、多少のプログラミング作業が必要になります。
OFFスタートのフリッカ出力
OFFスタートするフリッカ出力回路は以下のようなラダー図になります。
Sio-Programmerにて、上記動作を実現さるために、内部フラグを使用します。
FLAG1を上記ラダー図のT1(オフ時間設定タイマ)
FLAG2をT2(オン時間設定タイマ)とします。
Sio-Programmerのプログラムを行う際の検討事項は以下の通りです。
出力OUT1のオン条件は、FLAG1のON
FLAG1のオン条件は、入力IN1がONかつFLAG2がオフ
FLAG2のオン条件は、入力IN1がONかつFLAG1がオンとなります。
以上の条件をそのままSio-Programmerに入力することで、フリッカ出力する出力信号を作成することが可能になります。
ONスタートのフリッカ出力
ONスタートフリッカ出力回路は以下のようなラダー図になります。
出力OUT1のオン条件は、入力IN1がON かつ FLAG1がOFF
FLAG1のオン条件は、入力IN1がON かつ FLAG2がオフ
FLAG2のオン条件は、入力IN1がON かつ FLAG1がオンとなります。
(FLAG1とFLAG2のON/OFF条件は、オフスタートフリッカ出力と同一です。)
以上の条件をそのままSio-Programmerに入力することで、フリッカ出力する出力信号を作成することが可能になります。
まとめ
今回、タイマー代表的な使用方法として、以下の4つ種類のタイマー機能を考えてみました。
これらのタイマーや自己保持を組み合わて使用することで、思い通りの動作をさせることができるようになります。
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