CC-Linkは三菱電機株式会社により開発されたフィールドネットワークです。
装置内にリモートI/Oユニットを分散させることができるため、配線作業の負担を減らすことが可能です。この場合、PLC側をマスタ局(親局)とし、リモートI/Oユニットを子局としてCC-Linkを使用することになります。
リモートI/O局には、主に、入力用・出力用・入出力混合の3タイプがラインナップされています。
今回は、三菱電機製の入出力混合リモートI/Oユニットについて解説します。
①入出力混合ユニットのラインナップ
三菱電機製のネットワーク関連製品については、下記を利用すると検索しやすいと思います。
使用頻度の高い入出力混合ユニット
ネジ接続タイプの入出力混合ユニットには、以下のラインナップが用意されています。
最も多く使用するのは入力16点/出力16点の「AJ65SBTB1-32DT1」ではないでしょうか?
理由は入出力1点当たりの単価が安いからだと思います。
リモートI/Oを細かく分散配置しすぎると中継用の端子箱の数が増えますし、
コスト高になる恐れがあるため注意しましょう。
型式 | 入力仕様 | 出力仕様 | 入出力点数 | 定価 |
AJ65SBTB1-32DT1 | プラスコモン タイプ | トランジスタ出力 (シンクタイプ) 0.5A/1点 | 入力:16点 出力:16点 | ¥44,500 |
AJ65SBTB1-16DT1 | プラスコモン タイプ | トランジスタ出力 (シンクタイプ) 0.5A/1点 | 入力:8点 出力:8点 | ¥27,500 |
AJ65SBTB1-8DT | プラスコモン タイプ | トランジスタ出力 (シンクタイプ) 0.5A/1点 | 入力:4点 出力:4点 | ¥25,000 |
なお表中のリモートI/Oはすべてねじ接続タイプとなっております。
スプリングクランプ式やe-con式に比べ、非常に安価です。
AJ65SBTB1-32DTと【-32DT1】と【-32DT2】と【-32DT3】の違い
ほぼ同様な仕様のリモートI/O「AJ65SBTB1-32DT」があります。
少し気になったので、仕様の違いをチェックしてみました。価格はほぼ同等かと思います。
細かな仕様については、「CC-Linkシステム小形タイプリモートI/Oユニットユーザーズマニュアル(詳細編)」に記載があります。
違いをまとめてみました。
定格入力電流 | 入力応答時間 | OFF時漏洩電流 | その他 | ||
AJ65SBTB1-32DT | 7mA | 1.5ms | 0.25mA以下 | 過負荷保護機能, 過電圧保護機能, 過熱保護機能 | |
AJ65SBTB1-32DT1 | 5mA | 0.2ms | 0.25mA以下 | 過負荷保護機能, 過電圧保護機能, 過熱保護機能 | |
AJ65SBTB1-32DT2 | 7mA | 1.5ms | 0.1mA以下 | ・保護機能なし | |
AJ65SBTB1-32DT3 | 5mA | 0.2ms | 0.1mA以下 | ・保護機能なし |
入力応答時間がAJ65SBTB1-32DT1の0.2msであり、AJ65SBTB1-32DTの1.52msよりも短いことがわかりました。
入力応答時間の1.5msと0.2msについて
入力応答時間とは、入力ユニット側で瞬間的な入力を取りこぼすことなく取りこぼせるかどうかの目安となる時間のことです。ただし、入力ユニット単体の応答時間時間だけではなく、PLC側のラダースキャンタイムも考慮する必要があります。
参考までに、QX42形DC入力ユニット(プラスコモンタイプ)の入力応答時間の初期設定は10msでした。CPUパラメータで切り替え可能で最短1msまで高速化できることでしたが、私は初期設定のまま使用しています。
QX42の10msecと比較すると1.5ms/0.2msは非常に短いですが。CC-Linkの場合には、さらにCC-LINK通信自体のリンクスキャンタイムも考慮しなければなりません。
リンススキャンタイムはリモート局が増えれば増えるほど長くなるなります。また、伝送速度を高くすればリンススキャンタイムは短くなります。なお、CC-Linkの伝送速度の初期設定は156kbpsです。最大10Mbpsまで高速化することができます。
同じ条件で、CC-Linkの伝送速度を156kbps→2.5Mbpsへ変更してみるとリンクスキャンタイムがかなり短縮されることがわかりました。
AJ65SBTB1-32DT
②入出力混合ユニットのデバイス割付
AJ65SBTB1-32DTのデバイス割付
リモート局の占有点数は32点です。
この32点中前半の16点が入力用。後半16点が出力用になります。
AJ65SBTB1-16DTのデバイス割付
AJ65SBTB1-16DTは、入力8点/出力8点と合計16点の混合入出力ユニットです。
CC-Link Ver.1の場合
CC-Linkマスター局の動作モードが「CC-Link Ver.1」の場合、
AJ65SBTB1-16DTの「リモート局点数」は32点固定です。
X1000〰X1007の8点分に入力デバイスが割り付けられ、Y1008〰Y100Fの8点分に出力デバイスが割り付けられます。
CC-Link Ver.2の場合
リモート局点数については、「32点」とすることもできますし「16点」とすることも可能です。
どの様な場合に点数を変更すべきか私自身よくわかっておりません。
間違いが起きにくいため、よほどの事情がない限り32点づつ割り付けたほうが良いと思われます。
リモート局点数を32点にする場合
CC-Link Ver.1の時と同様にX1000〰X1007の8点分に入力デバイスが割り付けられ、Y1008〰Y100Fの8点分に出力デバイスが割り付けられます。
リモート局点数を16にする場合
リモート局点数を16点にすることが可能になります。
1局目までのデバイス割付は変化在りませんが、2局目のデバイス割付がX1010からスタートしています。注意しましょう。
AJ65SBTB1-8DTのデバイス割付
CC-Link Ver.1の場合
CC-Linkマスター局の動作モードが「CC-Link Ver.1」の場合、
AJ65SBTB1-16DTの「リモート局点数」は32点固定です。
X1000〰X1003の4点分に入力デバイスが割り付けられ、Y1008〰Y100Bの4点分に出力デバイスが割り付けられます。
かなり独特な割り付け方になるため注意が必要です。
CC-Link Ver.2の場合
リモート局点数については、「32点」とすることもできますし「16点」とすることも可能です。
リモート局点数を32点にする場合
X1000〰X1003の4点分に入力デバイスが割り付けられ、Y1008〰Y100Bの4点分に出力デバイスが割り付けられます。
リモート局点数を16点にする場合
1局目までのデバイス割付は変化在りませんが、2局目のデバイス割付がX1010からスタートしています。注意しましょう。
リモート局点数を8点にする際には注意が必要
リモート局点数設定を「8点」にした場合、割付デバイスはX1000〰X1007の8点になるのだと思われます。
後半のX1004-X1007がグレーアウトしており、出力デバイスが割付されていない点にも注意必要です。
CC-Link Ver.2時は、リモート局点数を16点までにしておくのが良いでしょう
おわりに
入出力混合リモートI/Oユニットとデバイス割付について調べてみました。
参考資料
AJ65SBTB1-8DTのX、Yの割付について
AJ65SBTB1-16DTとAJ65SBTB1-16DT1の違いについて
入力ユニット応答時間について
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