モレックス1625ピッチコネクタはFA機器に広く使用されているケーブル接続コネクタです。
1625シリーズは電線対電線を中継する際に使用するコネクタで、以下の特徴があります。
中継極数が1極から12極までラインナップされています。
価格が非常に安価です。(ただし工具は高価ですが)
正しく圧着さえできれば、あまりトラブルは起きないかと思います。
結線作業も簡単です。引き抜き工具を使用すればハウジングからピンを引き抜くことも可能です。 (やり直しがききます。)
ただし、防水性はないので水や油のかからない場所で使用しましょう。
なおモレックスはアメリカに本社のあるコネクタメーカです。
とは言え、各種ECサイトにて気軽に入手することができます。
ミスミ・モノタロウ・オレンジブック等のECサイトからも購入可能となっています。
特にミスミではカタログに仕様が記載されているため購入しやすいかと思います。
今回は、電線対電線用の中継コネクタ1625シリーズの圧着方法について解説してみたいと思います。
プラグとレセプタクル
まず、どうしても確認しておきたい項目があります。プラグとレセプタクルです。
レセプタクル(Receptacle)とは、ソケット側です。
レセプタクルターミナルは、レセプタクルハウジングに組み込んで使用します。
Receptacleには「受け入れるもの」という意味があります。カタカナで書くとレセプタクルもしくは、リセプタクルです。
レセクタブル・レセクタプルは誤用かと思われますので注意しましょう。
次にプラグです。
プラグ(Plug)とは、差し込むほうです。以下のような形です。
プラグハウジングは上記の写真のように電極(ターミナル)が露出します。
事故防止のため、「電源側」にはレセプタクル側を、「負荷側」にはプラグ側を使用することが一般的です。家庭用のAC100Vコンセントも、壁側にソケット(レセプタクル)側がついており、ドライヤー等の負荷側のケーブルがプラグ側となっています。
プラグ側を「電源側」に使用した場合には、感電や短絡事故の原因となることが考えられます。基本的には、プラグ側を「負荷」側に使用しましょう。
仕様のチェック
まずは、モレックス製1625シリーズコネクタのスペックの確認です。
ハウジング
まずはハウジングからです。
ハウジングとは、コンタクトピンを挿入して使用する絶縁体です。
3.68mmピッチとは、コネクタ内のコネクタピン同士のピッチが3.68mmとのことです。
プラグハウジングには、P
レセプタクルハウジングにはRが
型式中に含まれています。
極数 | プラグ ハウジング (耳なし) | プラグ ハウジング (耳あり) | レセプタクル ハウジング (耳なし) | レセプタクル ハウジング (耳あり) |
1 | 1625-1P | – | 1625-1R | – |
2 | 1625-2P1 | 1625-0P2 | 1625-2R1 | 1625-2R2 |
3 | 1625-03P1 | 1625-03P | 1625-03R1 | 1625-03R |
4 | 1625-4P1 | 1625-4P | 1625-4R1 | 1625-4R |
5 | 1625-5P1 | 1625-5P | 1625-5R1 | 1625-4R |
6 | 1625-06P1 | 1625-06P | 1625-06R1 | 1625-06R |
9 | 1625-09P1 | 1625-09P | 1625-09R1 | 1625-09R |
12 | 1625-12P1 | 1625-12P | 1625-12R1 | 1625-12R |
15極品・24極品については、取り扱いを終了しているECサイトが多いです。生産中止になっている可能性があります。ご注意願います。
ターミナル
次にターミナルです。ターミナルとは電極・コネクタピンのことです。
コネクタピンは、電線サイズの応じて大小2種類がラインナップされています。太線用の1560/1561シリーズを使用することが多いのではないかと思われます。
1560TL、1854TLがプラグハウジング用のコネクタピンで、1561TL、1855TLはソケットハウジング用のコネクタピンです。
ターミナルには被覆カシメ部と芯線カシメ部があります。
1560/1561シリーズ(大きいほう)
1560/1561シリーズは0.2sqから0.75sqまでの電線に適応可能です。
1560TL→プラグハウジング用
1561TL→ソケットハウジング用(レセプタクルハウジング)
仕様は以下の通りです。
定格電圧 | 250V |
定格電流 | 5A |
芯線サイズ | AWG#18~#24 (0.2sq-0.75sq) |
被覆外径 | φ1.5~φ3.1mm |
1854/1855シリーズ(小さいほう)
1854/1855シリーズはさらに細専用です。このためか圧着工具「JHTR1719C」が使用できません。注意しましょう
1854TL→プラグハウジング用
1855TL→ソケットハウジング用
仕様は以下の通りです。
定格電圧 | 250V |
定格電流 | 5A |
芯線サイズ | AWG#22~#28 (0.08sq-0.3sq) |
被覆外径 | φ1.1~φ1.5mm |
純正圧着工具
圧着時の信頼性アップのためには、純正工具を使用する必要があります。
「JHTR1719C」はサイズの大きい1560/1561シリーズ用の圧着工具です。1854/1855シリーズを圧着することができないためご注意願います。
非常に高価な圧着工具ですが、モノタロウ・ミスミ等どこからでも購入可能と思われます。
また純正ではありませんがミスミ社から圧着工具が販売されています。
型式:MSHT-M01
J5800-002
引き抜き工具とは、コンタクトピンを、ハウジングから引き抜く際に使用する工具です。
間違った位置にコンタクトを差し込んでしまった場合にも、引き抜き工具を使用することでやり直しが可能になります。
圧着手順
1560TL→プラグハウジング用 1561TL→ソケットハウジング用 を使用してコネクタを加工する方法について説明します。
絶縁被覆向き
ケーブルストリップを使用し被覆向きを行います。
絶縁被覆のむき長さはコネクタピン側の取説・カタログに記載があります。
資料によっては2.6mm~3.4mmと記載されているものがあります。
むき長さは約3mmです。普段よく使用するであろう裸圧着端子(Y端子・丸端子)向けよりもかなり短い向き長さです。
慣れないうちは定規で確認するとよいと思います。
圧着工具にケーブルをセットし圧着する
圧着工具でケーブルを圧着する際は、被覆部と芯線部を同時に圧着します。
ターミナルをコネクタにセットする方向には注意する必要があります。以下の写真の方向にセットします。
どうしても、コネクタを工具にセットしながら写真を撮ることが難しいため、上手に写真を撮ることができません。圧着工具にターミナルをセットすると以下のようになります。
圧着後は少しケーブルを引っ張り、しっかり圧着されていることを確認します。
また、芯線がコネクタピンから飛び出さないことを確認ます。
ハウジングにコネクタピンをセットする。
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