リレーシーケンスとラダーシーケンスの違い
電磁リレーによるシーケンス制御が普及した後に、それをソフトウェア上で実行できるような形に模したものとしてPLCが登場しました。
このPLCはリレー配線ではなくラダー言語によりシーケンス図を作成します。
このため、リレー配線によるシーケンス制御とPLCによるシーケンス制御にはよく似てはいます。しかしながら、全く同じではないという点に注意が必要です。
いくつかの違いはありますが、その中の一つ”スキャン”という概念について説明します。
PLCのシーケンス図はスキャン処理される。
スキャンとは、ラダー言語で記述されたシーケンス回路の先頭から末尾まで順番に処理を実行する事です。ラダー図の先頭から最後まで一巡することを1スキャンといい、この時の処理時間をスキャンタイムと呼びます。
一方で、リレー配線によるシーケンス にはスキャンという概念はありません。
比較すると次のようになります。
リレーは同じタイミングで動作するのに対し、PLCプログラムはシーケンス図を先頭から順番に処理するため、全く同じシーケンス回路であっても、動作結果に違いがある場合があります。
次のサンプル回路を使用してリレー回路とPLCプログラミングの相違を説明します。
リレーで回路を組んだ場合
先ほどのシーケンス回路をリレーや押しボタンスイッチなどを使用した回路で表現すると以下のようになります。
押し釦スイッチが入力、表示ランプが出力となります。
この回路について簡単に動作説明をします。
まず、押しボタンスイッチ”PB1″がONすると、リレー”CR1”と表示ランプ”PL1”に電流が流れます。 このため、リレー ”CR1” は動作を開始し、表示ランプ ”PL1” は点灯します。
やがてリレー ”CR1” のB接点が動作するため、表示ランプ”PL1”に流れる電流が遮断されることになります。この結果、表示ランプ”PL1”の状態は「点灯」→「消灯」することになります。
これをタイミングチャートで表記すると次の図のようになります。
ポイントは、表示ランプは一瞬だけONすることになる点です。
ラダー言語にてPLCをプログラムする場合
PLC(シーケンサ ) を使用した場合の配線は以下のようになります。
この中で使用されるPLCに、先ほどのシーケンス図をラダー言語で記述すると以下のようになります。
基本的には、リレー回路と同じではありますが、機器番号をアドレス表示するようになります。
ラダー言語のプログラムは先頭から順番に処理されますので、これを順番に説明します。
ラダー言語プログラムの処理順番1
リレーシーケンスの場合と同様に、押しボタンスイッチが押された場合の表示ランプとリレーの動作について考えます。
以上で、プログラムの先頭から末尾までプログラムを実行したことになります。
ラダー言語プログラムをタイミングチャートで表すと以下のようになります。
まとめ
PLCの登場以前は、リレーやタイマーを使用してシーケンス制御を行ってたそうです。
そのあとに、シーケンス制御時術者が理解できやすいプログラミング言語として、ラダー言語が使用されるようになった経緯があります。
しかし、最近では、先にラダー言語を理解してから、リレー回路を理解してゆくこともあるのかもしれません。
現在でも非常に小規模な設備、簡単な回路であればPLCを使用せずにリレーとタイマーによる論理回路を作成することがありますし、非常停止回路(運転準備回路)など重要な部分は今でもハード回路にて構成します。
リレーシーケンスとPLCプログラミングには若干の相違がある点は知っておいた方がよいと思われます。
以上です。
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