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PLC

NCとPLCの違いを解説

NCとPLCの違い
NCとPLCの違い

工作機械の制御にはNC装置とPLCの両方が使用されることが多いです。

また、工作機械に搭載されているNCコントローラーにPLC機能が内蔵されていることもあります。

特にNCを搭載している工作機械を「NC工作機械」や「CNC工作機械」と呼びます。

あるいはワークロード/アンローディングディングシステムなどの周辺装置制御専用に、工作機械本体とは別途にPLCが搭載される場合もあります。

共通点はどちらも「機械を制御するために使用されている」くらいであり、PLCとNCは全くの別物です。

PLCとNCの違いを確認しましょう。

*高度化された工作機械では、 厳密には C言語等の高級言語を使用して、補償制御画面やアラーム画面などの表示の制御などを行うことがあります。今回はこれらの生命を割愛します。 Windowsが搭載されている工作機械もあります。

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NC(computerized numerical control) 装置

NCとは

NC装置とは数値制御を行うコントローラです。コンピュータを利用して数値制御を行うNCを特にCNC( コンピュータ数値制御)と呼ぶことがあります。

しかし、現在使用されているNCは、ほぼ100%CNCであるため、特に区分せず単にNCと呼ぶことにします。

NC装置は、機械に組み込まれたサーボシステムに対し、移動速度や目標座標・その経路(補間)といった機械の動作を記述したNCプログラムの通りに各軸へ位置決め指令を行います。

NCのプログラミングをする際は、テキストエディッタや機械の表示器にNC言語を直接打ち込む方法とCAD/CAMを使用してプログラミングコードを作成する方法があります。マシニングセンター、NC旋盤、レーザ加工機などの加工プログラムはこのNC言語にて記述されています。

例えばマシニングセンターのようなミーリング加工を行う工作機械の場合、NC言語を使用することにより各軸座標値を指令するだけではなく、

  1. Sコードによりツールと呼ばれる刃具の回転速度を指定する。
  2. FコードによりX,Y,Z軸の移動速度を指定する
  3. Mコードと呼ばれる補助コードとその番号を指令する事でクーラントシステムの起動/停止などの機械の周辺機器の制御を行う
  4. Gコードにより連続的に指令される座標ポイント間の工具経路の補間方法を指定する
  5. 変数や条件分岐分、繰り返しを使用することで高度で柔軟性の高い加工プログラムの作成
  6. サブプログラムやマクロ変数、引数、帰り値を使用した構造化ができる

といった機械の加工動作を細やかに制御することができます。

なお、日本で初めてこのNC装置の開発を行ったのがFANUC(ファナック)です。

そして、NC装置を搭載した初の工作機械を開発したメーカが牧野フライスです。

加工プログラムの編集は機械使用者が行う。

NC言語を使用した加工プログラムの作成は、基本的には実際に機械を使うマシンオペレーターやその管理者が行います。もしくは、NCプログラムの作成を専門的に行うCAMオペレーターが行います。

そのために、NCプログラム(特に機械の動作順序や動作タイミング、加工条件の変更)を行うための専用画面が機械自体に搭載されており、簡単に加工プログラムの作成、変更、確認ができるようになっています。

このような操作をMDI(Manual Direct Input)と呼びます。

NC(数値制御装置)についてはこちらで詳しく解説しています。

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PLC(Programmable logic controller )とは

PLCとは

PLCとはシーケンス制御を行う制御装置です。制御盤のスイッチによる機械の運転操作や運転中のサーボ以外の周辺機器の起動停止を制御します。

機械操作盤 工作機械
工作機械の制御盤

PLCも機械の制御に使用される制御装置です。

NCが工作機械の送り軸などのサーボ機構を制御しているのに対し、PLCは周辺装置を制御するために用いられます。周辺装置とはクーラント・チップコンベアシステムなどの切削屑自動排出装装置、自動工具交換装置(ATC)、積層表示灯(パトライト)など様々です。

NCは基本的に位置決め制御だけを行います。それ以外の制御を行うために、NCはPLCへ動作要求を行います。この時に使用されるNCコードが、M,S,Tコードです。

PLCはNCからの要求を受け、シリンダー・バルブ・センサーなどのI/O制御を行い、Tコードで指令された工具を交換位置まで運ぶ動作を行います。Mコードにより工具交換の自動動作を行います。また、主軸回転数に応じて巻き線の切替や主軸(スピンドル)冷却・潤滑などの複雑な制御を開始します。

これらの処理や動作を一つのPLCプログラムにて並列して行います。

PLCの制御に使用されるプログラミング言語は主に、ラダー言語(ラダー図)です。ラダー図の元をたどると、電磁リレーによって作成された電気回路図(シーケンス回路図)になります。電気回路図をソフト上で編集できるようにしたものがラダー図です。ですから、簡単な回路であれば、直感的であり理解しやすいという特徴があります。

PLCは工作機械の制御に留まらず、あらゆる工場の自動化やエレベータ、自動ドア、ビル管理など様々な分野で使用されます。

機械ユーザが気軽に変更できない

しかしながら、実際に機械を制御しているラダー言語は大規模、複雑、難解であり、自分以外が作成したラダーの内容を把握することは難しく、気軽に編集できるものではありません。

まとめ

PLCとNCは互いに協力し合い、機械の制御を行います。

NCは高度な位置決め制御を行い、PLCは機械の周辺機器の制御を行います。

以上です。