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PLC

自動機のアラームについての解説

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アラームメッセージとは

どんなに作り込まれた設備であっても、自動機は意図せず運転を継続できなくなるケースがあります。この時に設備は黙って運転停止するのでは無く、何が原因で運転継続できなくなったのかを示す必要があります。そこで、電気設計者はシーケンスプログラム内に原因追及を行いやすくするために、丁寧にアラームメッセージ機能を実装する必要があります。

自動機へ用意すべきアラームにはパターンがあります。プログラミングの作成に慣れていないうちは、どのようなアラームを用意すれば良いか分からなくて苦労する事もあると思います。

そこで設備に実装すべきアラームについてまとめてみました

例えばシリンダーを使ってシーケンス制御を行う場合は、大抵の場合タームオーバーアラーム処理の実装が必要になります。もちろんタイムオーバーアラームが不要になる事もあるでしょうが、まれな事です。

シリンダー意外にも機械にはいくつもの要素が組み込まれます。モーター、サーボなどです。(もちろんこれ以外にもたくさんありますが。)各要素ごとに用意すべきアラームをまとめてみました。

参考にしていただけると嬉しいです。

ダンマリ停止

シーケンスプログラムの進捗が、何らかの事情により途中停止することにより、見かけ上”設備が黙って運転停止”するような状態をダンマリ停止と呼びます。ダンマリ停止はほぼほぼアラーム機能の実装漏れによって発生します。よって、ダンマリ停止はほぼ設備側の不具合とされることが多いのではないでしょうか?。ダンマリ停止には以下のような特徴があります。

  1. 設備停止に気づけない。設備は稼働中信号を立てているが加工作業は停止している
  2. 運転停止している原因が不明である。→何を直せばよいかわからない。
  3. 設備にはアラームが発生しないため、原因が復旧したときに突然動作を再開してしまう恐れがある。(最悪の場合、労働災害につながりかねません)

このように、ダンマリ停止は、非生産的・危険であることが分かります。

理想的には”異常が発生しない・止まらない設備”を設計すべきですが、これはほぼ不可能だと思います。自動運転が継続できなくなったとき、その原因がわかりやすいようにアラームを発生させて、マシンオペレータ・加工物・設備本体を守るために設備を安全に停止させる必要があります。

シリンダー

動作タイムオーバー

動作タイムオーバーアラームとは、シリンダー動作が規定時間内に終了しない場合に発生するアラームです。単にタイムオーバアラーム(Time Over Alarm)と呼ばれることもあります。

電磁弁が駆動、シリンダーが動作を開始した後に一定時間経過しても動作が完了しない場合、なんらかの異常が起きていると考えられます。この時に発生するアラームがタイムオーバーアラームです。

タイムオーバアラームが発生する原因は以下の通りです。

  1. 駆動リレー・電磁弁の配線抜け・断線・配線ミス(出力信号・極性に注意)
  2. 動作完了センサーの断線・配線ミス(入力信号・極性に注意)
  3. 動作完了センサーの検出位置のずれ・調整不良
  4. 空気圧配管のミス。エアホースの潰れ。空気圧の低下
  5. 空気圧スピコンの絞りすぎ
  6. 異物の挟み込み
  7. ホコリ・ヨゴレ・キリコ等によりシリンダーの駆動抵抗が増加している
  8. 空気圧シリンダーの推力の低下・推力不足
  9. そもそもタイムオーバーアラームのタイマー設定時間が短い

シリンダーの動作完了を確認できないと、次のシーケンスの動作の動作条件が成り立たなくなり、自動運転が止まってしまいます自動運転動作のシーケンス側からすると、単にシリンダーの動作完了を待っているだけなのです。一方で、オペレータ側からの観点では、自動運転中に設備の動作が突然停止したように見えますし、なぜ停止しているのかの原因もわかりません。このように、「機械設備が何ら警報を出すことなく停止している状態のこと」をダンマリ停止と呼びます。

設備がダンマリ停止を起こさないようにするためにも、タイムーオーバアラームを発生させる必要があります。

タイムオーバアラームは、原則的にはシリンダーの一本ごとに設計しておく必要があります。

加えて、「原点復帰」や「サイクル停止」などの、”ある一連の連動動作”の全体時間を監視してタイムオーバアラーム監視を行う場合もあります。これはには以下の理由があります。

  1. 設計したシーケンスプログラムに潜在的な不具合があり、動作が途中で停止してしまう際にも、ダンマリ停止とならないようにするため

センサー異常

一本のシリンダーには2本のスイッチを使用するのが一般的です。一方が原点側でもう一方が反原点側です。これらが同時にONしているとシリンダーのロッドがどの位置にあるのか判断出来なくなります。このような場合センサー異常アラームを発生させるべきです。

また、動作端を検出するためのリミットスイッチや光電スイッチについても同様です。

通常使用しているうちはこのような事態は起こりませんが

  • センサーケーブ端子台中継時の配線ミス
  • オートスイッチに磁気を帯びた異物が付着した

などの理由によりアラームとなる場合があります。

シリンダーの動作回数カウント

シリンダーには寿命があります。そこでPLCにてシリンダーの動作回数をカウントさせ一定回数を超えた時に警告をするなどの処理を行う事で予防保全(Preventive Maintenance)を行うことができます。

モーター

サーマルリレーやモータブレーカのトリップ時にアラームを発生させます。どのモーターのサーマルリレーがトリップしたのかを履歴に残すためにも、PLCにて異常検出を行うのが良いでしょう。

電磁開閉器

サーマルリレーとは、設定値以上の電流が流れた時にモーターの焼損を防止するための部品です。注意すべきはサーマルリレーには自体には主回路を遮断する機能がない点です。サーマルリレーリレーの一時側に接続されている電磁接触器のコイルをOFFする事で、主回路を遮断する回路works作るべきです。

モータを直入れ起動する際は大抵はサーマルリレーを取り付けますが、一部のモーターにはサーマルリレーを使用しないものもあります。

サーボモーター

サーボモータとアンプを使用する場合以下のアラームは最低限必要になります。

  • サーボアンプ自体の異常、警告(過電流、過電圧、通信異常など)
  • オーバートラベルアラーム(外部に取り付ける近接スイッチやリミットスイッチなど)
  • アブソリュートエンコーダバッテリー異常や警告

特にサーボモーター用にアンプの中にはエンコーダの電源を保持し現在位置を記憶しています。バッテリー電圧に低下が見られた時点で警告をしてくれる場合がありますので、バッテリー電圧低下を検出した場合できるだけ早いうちにオペレーターに通知した方が良いです。

PLC異常

PLCにもデバイス停電保持などのためにバッテリーを内蔵しているものがあります。

バッテリー低電圧を検出する時はアラーム発報する用にしましょう。

まとめ

代表的なものをいくつかまとめてみました。もちろん、これら以外にもたくさんのアラームメッセージが必要になります。

必要最低限のアラームをまとめてみました。

以上です。