世間一般にタイマーといえば時間を計測するための道具です。
一方、有接点リレーシーケンス回路の世界では、タイマーとは限時継電器(タイマーリレー・Timer Relay)のことを指します。
限時(げんじ)とはとは何か?これについては、”直ちに動作するのではなく、時限爆弾のように一定時間経過後に動作する”ととらえるとイメージしやすいと思います。このようにタイマーリレーの接点は、コイルが導通してから、一定時間後に接点が動作するため限時接点と呼ばれます。これに対し一般的なリレーの接点は瞬時接点と呼ばれます。
今回は、タイマーリレーについて解説してみたいと思います。タイマリレーは基本的にオンディレータイマーのものが多いので、特にオンディレータイマーについて説明します。
タイマーリレーとシーケンス制御
実際のところハードワイヤー回路でタイマーリレーを使用する機会は、滅多にありません。
なぜならば、タイマーリレーは通常のリレーよりも数倍高価な部品だからです。
タイマーリレーを数個使用してしまうような回路になると、もはやPLCを使用したほうが安価で高機能です。あるいは、SUS製のSioコントローラーを使用したほうが、経済的かもしれません。
あえてタイマーリレーを使用するメリットがありません。
有接点のタイマーリレーを使用する機会といえば、機械保全技能検定の電気系保全の実技試験を受験する際や、初学者の勉強時程度かもしれません。
実務で使用する頻度が少ないからこそ、知らなかったり・忘れたりしてしまうものだと思います。
解説し記録しておくことが重要だと思い、記事を作成してみました。
オンディレータイマーの動作
リレータイマーの最も基本的な動作は、オンディレータイマーです。
オンディレータイマーの中では、特にオムロン社製のH3Yシリーズが有名かと思います。
オンディレー信号とは、入力信号がONしてから、タイマー設定時間度にONとなる信号です。オンディレー出力のことを、限時動作瞬時復帰と呼ぶこともあります
H3Yシリーズリレータイマーは、一般リレー(MYシリーズ)と共通のリレーソケットを使用して配線することができます。よって接点・コイルの接点番号は、通常のリレーと同一になります。
共通ソケットに対応する一般リレーとタイマーリレーの型式は以下の通りです。
ソケット型式 | 対応リレー | 対応タイマーリレー |
PYFZ-08 PYFZ-08-E | MY2N | H3-Y-2 |
PYFZ-14 PYFZ-14-E | MY4N | H3-Y-4 |
タイマーの計時動作
タイマーリレーのコイルに定格電圧が印加されると、タイマーの電源がONになります。
同時に、タイマー正面のPWランプが点灯します。
と同時に、タイマー本体内部では時間の計測動作が行われます。特に、このタイマーカウント中の動作を計時動作(けいじどうさ)と呼びます。タイマー設定時間に到達するとタイマーはカウントアップし、UPランプが点灯しタイマーの接点が動作します。
タイマーリレーにも一般リレーのようにA接点B接点が存在しますので、次にこれらの動作について解説します。
オンディレータイマーのA接点とB接点 の図記号
通常のリレーはコイルに定格電圧が印加されるのと同時に、接点が動作します。
これを瞬間動作と呼びます。瞬時動作接点の図記号は以下のようになります。
一方で、オンディレータイマーリレーの接点は限時間動作を行います。
リレーのコイルがオンしてから、接点が動作するまでに遅延時間(ディレー)が生じます。
限時動作する接点の図記号は以下のようになります。
厳密に考えると通常の瞬間動作瞬時復帰の通常接点であっても、物理的に接点が動作して接点を開閉させるわけですから、微小な時間遅れが生じます。これをリレーの動作時間・復帰時間と呼びます。
一般的にこの時間は数十ミリ秒程度と非常に短い時間であるため、無視されることもあります。
オンディレータイマーのA接点とB接点のタイミングチャート
オンディレータイマーの動作を説明するために、以下の回路を考えてみます。
押し釦スイッチ「PB1」を押している間、オンディレータイマー「TMR1」のコイルが導通します。
コイルが導通することにより、タイマーは計時動作を開始します。
タイマーがカウントアップするまでは、タイマーのA接点は動作しないため、ランプPLaは点灯しません。また、タイマのB接点も動作しないため、ランプPLaは消灯しません。(点灯します。)
オンディレータイマーのコイルの導通時間が、タイマ設定時間よりも短い場合、タイマーの接点は動作しません。
まとめ
オンディレータイマーの動作についてまとめてみました。
タイマーのA接点の動作はイメージしやすいと思います。
B接点の動作が少し難しいかもしれません。
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