三菱電機製MELSEC-Fシリーズシーケンサ(FXCPU)は、工場出荷時の初期設定では、デバイスコメントをシーケンサのメモリ内に書き込むことが出来ない設定になっています。
デバイスコメントを書き込むためには、GX Works2等のエンジニアリングソフトからパラメータを変更する必要があります。
デバイスコメント
デバイスコメントとは、ラダー言語にて記述されたシーケンス図中で使用されるデバイスに割り付けるコメントのことです。主にデバイスの「内容」や「意味」、及び「用途」がわかるようにするために使用します。
ですバイスコメントをPLCに書き込まなくても設備を動作させる事ができます。しかし、デバイスコメントは無くてはならない非常に重要な情報です。設計中だけではなく、デバッグ時やトラブル調査の際などにデバイスコメントを元にラダープログラムを読み解いていくためです。
ところが、MELSEC-Fシリーズシーケンサ(FXCPU)については初期設定だとデバイスコメントをシーケンサーのメモリ内に書き込むことが出来ない設定になっています。
なぜ書き込むことが出来ないかというと、初期設定ではデバイスコメント用のメモリ領域が設定されていないためです。そこで、GX Works2やGX Developerといった開発ソフトを使用して、コメント用のメモリを確保する必要があります。
なおメモリ領域の確保には別途部品などは必要ありません。用途の決まっていないメモリ領域をデバイスコメント用に割り付けるだけで大丈夫です。本記事では、具体的な手順を説明します。
デバイスコメントを実機に書き込む意味
デバイスコメントを使用することで、メンテナンスの際に内容が理解しやくなります。というより、デバイスコメントが無いとメンテナンスが困難になります。
ラダー図を作成するのは電気設計者です。しかし、設計者自身が面倒を見るのは納入までであり、納入後からの長い時間は、納入先の保守担当者などの方々ラダー図を見ることになります。ラダー図を作成するときは、誰が見ても理解しやすく作成すること、そしてデバイスコメントを書き込むことは重要だと思います。
しかし、故意にCPU本体にデバイスコメントを書き込まない場合もあります。具体的には
- デバイスコメント用のメモリ容量を確保できない。
- 設備の動作や処理内容がデバイスコメントから調査され、不正に改造されることを防止する。
などが考えられます。
MELSEC-F FXCPUのメモリ容量
CPU内に、シーケンスプログラムを入力する際のメモリ領域の容量として、ステップ数という単位が使用されます。ステップ数は一般的にK(キロ)単位で使用します。また、最大ステップ数はCPUの機種によって異なります。
なお、FX3Gの最大ステップ数は32Kです。この中から、実際に使用するステップ数を選択できるようになっていています。FX3FGの場合では初期設定が8Kステップです。初期設定では最大容量の1/4しか使用しない設定になっています。
最大32Kステップまで使用するように変更しておきましょう。
なぜ最初から最大容量使用する設定になっていないのか?FXCPUの謎の1つです。
追記します。FX3Uシリーズの最大ステップ数は64Kステップです。FX3Gシリーズの場合ステップ数設定が16k以下を標準モード16K以上を拡張モードと呼びます。拡張モード時は CPUのスキャン速度が低下する用になっています。
GX Works2 を使用する場合
新規に0からラダー図を作成することを想定して説明を行います。
GX Works2 を起動後に、「プロジェクト」→「新規作成」を行い、FXCPUを選択し
- シリーズ名 FXCPU
- 機種名 FX3G (実際にお手元にある機種名を選択してください)
PCパラメータの変更
「表示」→「ドッキングウィンドウ」→「ナビゲーション」を選択し、ナビゲーションウィンドウを表示させます。
ナビゲーションウィンドウ 内のPCパラメータを選択し,「PCパラメータ設定ウィンドウ」を表示させます。
「PCパラメータ設定ウィンドウ」 ではデフォルトのコメント容量がゼロになっています。
そこで、適当な容量をコメント用に設定します。
1ブロック指定につき、50点のコメントをシーケンサに書き込むことが出来るようになりますが、メモリ容量を500ステップ消費します。
10ブロック使用した場合、初期設定値8000ステップの容量の内、5000ステップをデバイスコメント用に割り付けることなります。
デバイスコメント用容量を確保する場合は、メモリ容量も増やしておきましょう。
デバイスコメント点数の確認方法
「ツール」→「メモリ容量計算」にて使用中のメモリ容量を計算することが出来ます。
以下の例だと、438/500だけコメントを使用していることがわかります。
以上です。
GX Developer を使用する場合
FXCPUは「GX Works2 」でも「GX Developer」でもお好きなエンジニアリングソフトを使用することが可能です。よほど特殊な事情でもない限り、基本的にはGX Works2を使用するのですが、GX Developerを使用する場合の手順も説明させてください。
GX Developer を起動した後に、「プロジェクト 」→「新規作成」により機種設定などを行います。
PCパラメータの変更
「表示」→「プロジェクトデータ一覧」によりプロジェクトウインドウを表示
プロジェクトウインドウの中からPCパラメータを選択します。
はやり「FXパラメータ設定ウィンドウ」 のコメント容量がゼロになっています。
同様にコメント容量を設定することで、デバイスコメント用のメモリ空間がCPU内に割り付けられます。これにより、デバイスコメントの書き込みが可能になります。
GX Developer メモリ容量計算
FXCPUにて、オフライン時に、メモリ容量計算を試みましたが、計算できませんでした。
メモリ容量計算 が実行できないようになっています。
ちょっと調査してみます。
Qシリーズの場合、GX Developer でもメモリ容量の計算が可能ではあるのですが・・・・。
まとめ
デバイスコメントはないよりは、あったほうが良いと思います。できるだけ実機に書き込んでおきましょう。
- FXシリーズCPUの場合、デバイスコメントを書込むためには「パラメータ設定」と「コメント容量」が必要です。
- コメント容量用にブロックを割り付けましょう。
以上です。
コメントを投稿するにはログインしてください。