三桂製作所製のケイフレックスフレキを組み立てる機会がありましたので、その施工方法について解説してみたいと思います。
まずは、ケイフレックスとは何かを説明したいと思います。
なお、ケイフレックスのカタログや施工方法については、三桂製作所webサイトからダウンロードすることが可能となっております。
ケイフレックスとは
ケイフレックスとは、三桂製作所製の金属製のフレキシブル電線管です。
フレキシブル電線管は、コンジット(Conduit)・フレキシブルコンジット・フレキシブルホース・フレキシブルチューブなどと呼ばれることがあります。
チューブのような円筒状の構造をしており、管の中に電線を納めて使用します。
くねくねと曲がる性質(可とう性・flexible)があり、取り回しが簡単です。
直管のように曲げ加工を行う必要もありません。
用途として、FA自動化設備の固定配線に使用することが多いです。
キャプタイヤケーブルの中には耐油性のあるものもありますが、
Ethernetなどの信号用ケーブルには耐油性が無いものもあります。
こういったケーブルを中に収めて保護するため線管です。
三桂製作所の場合、
- 金属製のフレキシブル電線管をケイフレックス
- 樹脂製のフレキシブル電線管をサンフレキROBO
と呼んでいます。
ケイフレックスの用途
基本的には、”盤”と”盤”の間の電気配線・ケーブルの保護に使用します。
例として、制御盤・中継盤や操作盤などの配線保護です。
盤とモータ間(特にポンプ等)の配線保護に使用する場合もあります。
いったい何からケーブルを守る必要があるのかというと、
- 油や薬品
- 切屑
- 踏みつけ
です。
ケーブル保護
工作機械やその周辺の洗浄機械・バリ取り機械といった設備を例に考えてみます。
こういった設備では周囲に金属の切屑(切削くず)が発生します。当然設備内配線に使用されるケーブルを保護し、切屑が外装被覆を傷つけることを避ける必要があります。
また、設備機内でクーラントと呼ばれる乳白色の液体が使用されている場合が多いです。クーラントとは、切削加工時刃物とワークの間に発生する摩擦熱を冷却したり、切屑を洗い流したりするための液体です。クーラントには、冷却や潤滑のための薬剤が添加されている場合があります。直接電線ケーブルが触れてしまうと、ケーブルの絶縁被覆を劣化させてしまう恐れがあります。
ケイフレックスは、IP67という高い保護等級を持っています。
防塵性能が6級で、防水性能が7級です。
切屑やクーラントが飛び散り、ケイフレックスに掛かったとしても、中におさめられた電線を保護することができます。
ただし、ケイフレックスを使用したとしても、配管クーラント液の中にドボンと浸かってしまうようなことがないようにしましょう。
ケイフレックスの構造と選定
フレキは、盤と盤の間の配線保護に使用します。
フレキを使用する際は、付属品として、管を盤本体に接続するための専用コネクタが必要になることも注意しましょう。
ケイフレックス本体
ケイフレックスにもいくつもの種類(型式)があります。代表的なものだけを抑えたいと思います。
KMSシリーズ
型式によって特性が異なりますが、とりあえずはカタログの先頭にあるKMSシリーズを選定しておけば無難かと思います。
非常に強固なつくりとなっており、足で踏みつけたくらいではびくともしない印象です。
KPFシリーズ
KMSは固定用配線用のケイフレックスです。配線が可動する場合やケーブルベアにおさめて使用する場合などは、可動用のケイフレックスKPFを選定しましょう。
ケイフレックスを可動させる場合、当然、中におさめられたケーブルも可動します。
また、通常であればケイフレックスの許容曲げ半径の方が、中に収められたケーブルの曲げ半径よりも大きいはず。(ケイフレックスの方が径が大きいため)
可動用途で使用する場合は、一応ケーブル側のスペックも確認しましょう。
また可動時の許容曲げ半径は、固定の曲げ半径よりも大きくなる点にも、注意必要です。
KMBシリーズ
KMSシリーズは、金属管がPVCでコーティングされています。よって、熱い切屑が直接飛散してくる場所には不向きです。こういった用途向けに選定する際は、ブレードタイプケイフレックスKMBシリーズを選定しましょう。
ビニル樹脂でおおわれているKMSよりも、ではなく金属被覆ですので、適用温度範囲が広いです。
ケイフレックスコネクタ
ケイフレックス本体の次は、ケイフレックス用の接続コネクタの選定です。
ケイフレックスコネクタを選定する場合以下の点にを考慮します。
- 接続先が単純な丸穴であるのか?ねじ切りがされているのか?そのねじ規格は?
- コネクタの形状を確認する。ストレートタイプ・アングルタイプ・45℃タイプ。
- ケイフレックスの呼びサイズに合ったコネクタか?
ノックアウト接続とは
フレキの接続に限らず、制御盤の底面・側面に配線用コネクタを接続することをノックアウト接続、コネクタ自体をノックアウト接続コネクタと呼ぶことがあります。
この「ノックアウト (knockout)」とは、電線管接続用の「打ち抜き穴」のことです。
既製品の金属製ボックスの中には配線接続用の穴を簡単に開けられるように、側面にへこみのような特殊な加工があらかじめ施されているものがあります。
IDEC製の金属製スイッチ操作盤にも、複数の穴サイズに対応できるノックアウト穴が用意されています。
ノックアウト穴を開ける前には、しっかりと密閉されていますが、ハンバーとマイナスドライバーなどで強い衝撃を加えることで、きれいな丸穴を打ち抜けるようになっています。
一方で、制御盤設計時には、通常あらかじめフレキ接続専用の穴を準備します。のちに拡張することに備えて、念のため予備穴を複数開けておく場合もあります。あまり打ち抜き用のノックアウト穴を用意することはありません。
K2BGコネクタ
K2BGシリーズは、ノックアウト接続用のコネクタです。
キャプコン等でおなじみの「Gねじ(管用平行ねじ)」が切られたタイプのコネクタです。
もちろん、ネジの無い制御盤側面などへの接続に使用することが可能です。
以下の図中の「ΦS1寸法」が制御盤側の穴のサイズです。
例えば、よび太さ16のケイフレックスには、K2BG16を使用します。
この時、制御盤側にはあらかじめΦ20.9以上の抜き穴が必要になります。
一般にはΦ20.9より少し大きいΦ21穴を用意しておきます。
ただし、制御盤の製作工程では、板金穴加工後に塗装するのが一般的です。
焼付塗装の場合は膜厚が厚いため、Φ20.9ぴったりの穴を開けてしまうと、膜厚分だけ実際の穴寸法が小さくなってしまいます。コネクタを通すことができなくなる恐れがあります。
この場合やすり掛けを行い、穴の塗装をはがす手間が生じてしまいます。
あらかじめ、若干大きめの、Φ22程度の抜き穴を開けておけばよいでしょう。
KMBGコネクタ
KMBGコネクタには、異形コネクタ(径違いコネクタ)がラインナップされています。
通所であればケイフレックスのよびサイズで、制御盤側の穴サイズが決まりますが、異形コネクタを使用することで、通常より大きかったり小さかったりする穴にフレキを接続することができるようになります。
ケーブル占有率
フレキシブルホースの内径の断面積に対する、ケーブル外径断面積の比率がケーブル占有率です。
フレキシブルホースの中に、複数種類の電線を納めるのであれば、各ケーブルの外径断面積合計します。
ケーブル占有率が高すぎる場合、そもそもフレキ内にケーブルを納めることができなくなる恐れがあります。メーカカタログを参照すると、固定時で30%以内。可動時で20%以内の表記があります。
実際は、ケーブル占有率40%程度であっても配線は可能です。
本数にもよりますが40%後半から50%を超えると電線挿入がかなり困難になります。
コメントを投稿するにはログインしてください。