三菱FAエンジニアリングソフトウェアは種類が多すぎて、どのソフトで何が出来るのかがわかりにくい。
どのソフトウェアパッケージにどのソフトが入っているのかもわかりにくい。
こういった悩みを解消できるようにするために、三菱電機のFA制御機器のソフト設計・セットアップやメンテナンスを行う際に使用するソフトウェアをまとめてみます。
自分自身もこれらの問題で躓きました。
MELSOFTを徹底的に解説します。
MELSOFT とは
MELSOFTとは三菱電機製のコントローラの設計作業やメンテナンス作業を行うためのソフトウェアです。三菱電機製のソフトウェアを英語表記すると、Mitsubishi ELectric Corporationの SOFTware であるため「MELSOFT」ということだと思います。(個人の推測です。)
三菱電機のWEBサイト上では、MELSOFTについて以下のように記述されております。
システムの仕様検討から設備設計、日常のデータ収集にいたるまで、FAにおける“設計”、“運用”、“保守”のさまざまなシーンで性能を発揮するソフトウェア製品群です。
三菱電機FaWEBサイトより引用 https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/sols/sft/index.html
製品群とありますように、用途に応じた複数の種類ソフトウェアがラインナップされております。
基本的には有償。ライセンスが必要。
開発ソフトは有償のものがほとんどです。ソフトウェアインストール用のDVDやライセンス(許可書のようなもの)を購入する必要があります。一部体験版が用意されております。
ソフトウェアを購入した際に、プロダクトIDが付属されています。ソフトウェアをインストールする際には、 プロダクト IDを入力する必要があります。
ライセンスにもいくつかの種類があります。
- サイトライセンス →同一法人の同一事業所内に限り、ソフトウェアを複数人で使用することが出来るライセンス携帯
- 標準ライセンス → ソフトウェアを一人分のライセンス
公式サイト Q&Aにもサイトライセンスについての解説があります。
MELSOFT iQ Worksとは
MELSOFT iQ Worksとは表示器用のGT Works、シーケンサ用GX Worksなどの複数のエンジニアリングソフトの詰め合わせたものです。
手っ取り早く一通りのソフト一式を手にするためには、MELSOFT iQ Worksを購入するのが良いと思います。
MELSOFT iQ Works というソフトウェア自体を使用するということではなく、複数のソフトウエアが一式にまとめられている商品の名前が MELSOFT iQ Works となっています。
MELSOFT iQ Works を購入することで、複数のソフトウェアがまとめて入手できるのですが、この中で、特に重要な開発ソフトは以下の2点です。
- シーケンサエンジニアリングソフトウェア MELSOFT GX Works3、GX Works2 、 GX Developer
- 表示器画面作成ソフトウェア MELSOFT GT Works3
これらは単品で購入することも可能ではありますが、 iQ Works にてまとめて購入するほうがよいと思われます。
MELSOFT iQ Works Version 2
現在新規に購入を検討しているのでしたら、MELSOFT iQ Works Version 2のサイトライセンス版が良いでしょう。2020年3月時点で最新のソフトウェアパッケージです。また、サイトライセンスも通常ライセンスも同一価格となっております。 型式:SW2DND-IQWK-JC (サイトライセンス)
MELSOFT iQ Works Version 2 を購入することで、以下のソフトウエアを使用することが出来るようになります。
- MELSOFT Navigator Version 2
- GX Works3
- GX Works2
- GX Developer Ver.8
- GX Simulator2
- GT Works3
- MT Works2
- MR Configurator2
- RT ToolBox3 mini
- FR Configurator2
- CW Configurator
- PX Developer
- など
MELSOFT iQ Works Version 1
かつてはMELSOFT iQ Worksには「ver1」が存在しておりました。生産は終了しているため、現在は入手不可能だとは思います。型式は、 SW1DND-IQWK です。
MELSOFT iQ Works Version 1 を購入することで、以下のソフトウエアを使用することが出来るようになります。
- MELSOFT Navigator
- GT Works3
- MT Works2
- GX Developer Ver.8
- MR Configurator2
- RT ToolBox2 mini
- FR Configurator2
- など
GX Works3
MELSEC-iQ-Rや MELSEC-iQ-Fのような最新機種を設計するためには GX Works3 が必要になります。
GX Works3、GX Works2 、 GX Developer はどでれも、MELSECシーケンサの設計・保守用のソフトウェアですが、対応可能なPLCに違いがあります。特に、GX Works3 は GX Works2の上位互換というわけではない点に注意が必要です。
ソフトウェア名称 | 型式 | 対応PLC | |
GX Works3 | SW1DND-GXW3-J | MELSEC-iQ-Rシリーズ MELSEC-iQ-Fシリーズ | |
GX Works2 | SW1DNC-GXW2-J | MELSEC-Qシリーズ MELSEC-Lシリーズ MELSEC-Fシリーズ (FX0/FX1/FX2/FX3) | |
GX Developer Ver.8 | SW8D5C-GPPW-J | MELSEC-Qシリーズ MELSEC-Lシリーズ (FX0/FX1/FX2/FX3) MELSEC-Fシリーズ MELSEC-Aシリーズ QnACPU 、QSCPU |
MELSEC-QやMELSEC-Fシリーズの機種は、 GX Works2 にて設計を行います。GX Works3を使用して設計を行うことが出来ません。当面はまだまだ、 MELSEC-QやMELSEC-F も現役でしょうから、 GX Works2 も必須です。
GX Works2
シーケンサの設計・保守ソフトです。
GX Works2にはGX Simulator2が同梱(統合)されており、追加ソフトなしでシミュレーションを行うことができます。
GX Developer Ver.8
MELSEC-Qシリーズのソフト編集を行うことができますが、最新のユニバーサルモデル高速タイプQCPU(QnUDVCPU)には対応していません。
シーケンサの設計・保守ソフトです。すでに生産終了しているMELSEC-Aシリーズのような旧式のシーケンサのソフト変更を行うためには、GX Developerが必要になります。
GX Works2やGX Works3とは異なりシミュレータ機能が内蔵されておりません。
シミュレータ機能を使用するためには、別途 GX Simulator を購入する必要があります。
2020-10-08公開の バージョン8.506Cにて正式にwindows10に対応しました。
GT Works3とは
GT Works3とは、以下の GT Designer3を中心とした、タッチパネル用の画面作画ソフトをひとまとまりにしたパッケージ商品の名称です。
GT Works3には、以下のソフトが含まれています。
- GT Designer3 Version1(GOT2000)
- GT Designer3 Version1(GOT1000)
- GT SoftGOT2000 Version1
- GT SoftGOT1000 Version3
- GT Simulator3 Version1
- GT Designer2 Classic
表示器にはGOT2000シリーズと、1世代古いGOT1000シリーズが存在します。
共通の開発ソフトは無く、GOT2000シリーズ用がGT Designer3 Version1(GOT2000) であり、 GOT1000シリーズ用が T Designer3 Version1(GOT1000) となっております。
GT Designer2 Version2
GT Designer3 Version1(GOT1000) の前身がGOT1000用の GT Designer2 Version2です。
GT Designer2 Version2はGOT1000シリーズだけではなく、1世代古いGOT900シリーズ( A900、F900 )用にも対応しているソフトウェアです。
GT Designer2 Version2 は現在生産終了しています。
また、公式にはWindows10に対応していません。
この GT Designer2 Version2は、IQ WORKSやGT Works3の中には同梱されていない点に注意が必要です。
GT Designer2 Classicを入手することで、A900、F900シリーズのタッチパネルを編集することができるようになります。
GT Designer2 Classic
GOT900( A900、F900 )シリーズ は1990年代に発売され、2011年前後に生産終了したタッチパネルです。2018年には修理対応すらも終了します。また、GOT900シリーズ用のエンジニアリングソフト GT Designer2 Version2 も2015年に生産終了しております。
リプレースのために、GOT900シリーズ から画面ソフトを吸い出すためには、GT Designer2 Classic を使用する必要があります。
GT Designer2 Classicは三菱電機FAサイトから無償ダウンロードすることが出来ます。
MT Works2
MT Works2はモーションCPUコントローラ(Q173DCPU等)のセットアップツールです。
また、MT Works2の中に、MR Configurator2 が同梱されています。 MR Configurator2 サーボアンプのセットアップソフトであり、使用頻度が高いです。
MT Developer2
Q173DCPU 等のモーションCPUユニットのモーションSFCプログラムを作成するソフトです。
FR Configurator2
FR Configurator2 はインバータのセットアップソフトです。 型式名は SW1DND-FRC2-J です。
FR Configurator2 のバージョン次第では、 FREQROL-E700, FREQROL-D700 シリーズインバータ と通信を行うことが出来ます。
FR Configurator SW3
型式はFR-SW3-SETUP-WJ です。
安比較的使用頻度の高い FREQROL-E700, FREQROL-D700 シリーズインバータのセットアップを行うためには、 FR Configurator SW3 を使用することが出来ます。
MELSOFT Navigator
MELSOFT Navigatorとは、iQ Worksの中で,上流設計およびソフトウェア間の連携を行うためのソフトウェアです。
GX Works2やGT Deginer3にてプロジェクトファイルを保存するときに、ファイルをメール添付しやすいように1ファイル形式プロジェクトにて保存をする場合が多いです。
このため、MELSOFT Navigatorを使用する機会はほとんどありません。
PX Developer
PX DeveloperもMELSOFT iQ worksに同梱されているソフトウェアです。
下記プログラミングツールがPX Developerです。
プロセスCPU( Q04UDPVCPU等)のループ制御プログラムを作成する際に使用します。
筆者は使用したことがありません。
まとめ
- FA用にMELSOFTを使用するのであれば、とりあえずiQ Worksがあるとよい。
- iQ Works 内にはエンジニアリングソフトがいくつも同梱されている。
このなかで、最もよく使用するのはPLC設計用のGX Worksとタッチパネル用のGT Designer3です。
以上です。
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