本記事は、まだ作成中になります。自分自身が学習途中です。
自学自習のために作成中の記事を公開しています。
はじめに
工場内に防爆設備が使用されることがあります。防爆とは爆発を防ぐための考え方。
爆発は「爆発性雰囲気」と「点火源」が一緒になったときに、発生する。
爆発性雰囲気
爆発性雰囲気とは、可燃性のガスと空気が混合したガスのこと。
引火性のある液体の蒸気が、空気混ざった場合、火気により爆発を起こす可能性がある。
点火源
点火源とは、火種、火花のこと。
マッチ棒やライターなどをイメージしがちだが、防爆エリア(危険場所)は、そもそも火気厳禁。
点火源としては、静電気、摩擦、電気花火などがあるが、特に「電気火花」に着目している。
電気花火…スパークのイメージ。暗い部屋でコンセントを抜き差しするときに見える火花
もしくは、高温部も発火源となる。
防爆とは
防爆とは、可燃性のガス・蒸気・粉塵による火災や爆発を防止すること。
爆発は「爆発性雰囲気」と「点火源」が一緒になったときに発生する。つまり、片方が単独で存在しているときには、爆発に至ることにはならない。これが、防爆の基本的な考え方。
特に電気設備が爆発性雰囲気の点火源として作用しないような構造・仕組みのことを防爆と呼んでいる。
防爆に関する規格
ざっくりといいまとめてしまえば、「国内の防爆構造」と「IECの技術的基準=(国際整合防爆指針)」がある。→防爆規格が2本立てとされている由縁。
IEC 規格に整合したものは、構造規格と同等の防爆性能と認める。
構造規格
電気機械器具防爆構造規格(昭和44年労働省告示第16号)
→昔から存在する従来の構造規格。昭和44年…1969年である。
この第5条に記載されている内容がポイントである。
要約すると、関連する国際規格等に適合する電気機械器具もしくは、同等以上の防爆性能が試験等により確認されたものは、構造規格に適合しているとみなされる。
下記から確認することができます。
工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆2006)
→構造規格の検定基準
検定、、、型式検定。登録型式検定機関が行う検定。
検定合格標章を表示できる
技術的基準(廃止)_1988年(昭和63年)4月1日通達
技術的基準とは、防爆構造規格に適合するものと同等以上の防爆性能を有することを確認するための基準等
国際規格であるIEC規格(IEC:国際電気標準会議)で定めた技術的基準
現在では、「技術的基準」は廃止され、国際整合防爆指針となった。
国際整合防爆指針(こくさいせいごうぼうばくししん)
国際整合技術指針と記載されているものもある。
独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所が定めた。
国際規格に準拠した”日本”の防爆規格
「技術的基準」に代わって「国際整合防爆指針」に適合するものが構造規格に適合するものとして扱われるようになった。基本的には、IEC規格に対応しているとのこと。
JNIOSH…Japan National Institute of Occupational Safety and Health
労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
TR…Technical Recommendation 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所の技術指針という意味。
JNIOSH-TR-46:2020→単にEx2020と表記される場合がある。
Ex…Explosion Protection(爆発防止)
国際整合防爆指針2008(平成20年)
JNIOSH-TR-43:2008
→廃版
国際整合防爆指針2015(平成27年)
JNIOSH-TR-46:2015
国際整合防爆指針2018(平成30年)
JNIOSH-TR-46:2018
国際整合防爆指針2020
JNIOSH-TR-46:2020
労働安全衛生総合研究所HPより閲覧が可能とされていますが、全文読み込みできませんでした。
トライしてみてほしいです。
危険場所分類
国際整合防爆指針では、空気中に可燃性物質が存在する場所を3つのクラスに分類している。
Zone0が最も危険な場所。
Zone0・・・爆発性雰囲気が連続して放出される。長時間放出される。
Zone1
Zone2…Zone1の前室等
ガソリンスタンドに例えると、
危険個所 | |
ゾーン0 | ガソリン貯蔵用のタンク内 ガソリン移送用のタンクローリー内 |
ゾーン1 | 貯蔵タンクへの補充口 ガソリンの給油ノズル・給油口近く |
ゾーン2 | ガソリンスタンドのその他敷地内 |
可燃性物質の放出が起こる頻度、換気の種類、換気の有効度などから求める。
この3種分類は、従来の構造規格でも同様である。対応は以下の通り。
国際整合防爆指針 | 構造規格 |
ゾーン0 | 特別危険個所 |
ゾーン1 | 第一種危険個所 |
ゾーン2 | 第二種危険個所 |
防爆に関する構造
構造規格によると、防爆構造にはいくつか種類がある。
構造ごとに。防爆構造を表す記号が決まっている。
耐圧防爆構造…d
flameproof enclosure(フレームプルーフ エンクロージャー)…耐圧防爆容器
enclosure…電気機器を格納する筐体のこと。
耐圧防爆構造とは、点火源となりうる電気接点を有する電気機器等を頑丈な箱に入れてふたをするようなもの。→容器内で爆発が生じても、容器外の危険に爆発が及ばないようにした構造のこと。
容器内での内部爆発に耐える強度が必要。
構造規格によると耐圧防爆構造をゾーン0へ適応できない。
国際整合防爆指針(整合指針 Ex2018以降)では、耐圧防爆構造が、da、db、dcに細分化されている。
daはゾーン0対応可能(つまりEPL表記がGaになっているものがある。)
容器本体と蓋の隙間にて、火炎逸走(かえんいっそう)がないこと。
耐圧防爆構造における火炎逸走とは
火炎逸走とは。特に耐圧防爆容器内部の爆発によって生ずる火炎及び高温ガスなど
が容器の接合面を通過して周囲の爆発性ガスに着火すること。
内圧防爆構造…f
pressurized apparatus(プレッシャライズ アパレイタス)
pressurized…加圧された
apparatus…装置、機器
容器を保護気体(不活性ガス)で満たすことにより、点火源を爆発性ガスから防爆的隔離する。
→容器外部にて発生している爆発性ガスの侵入を防ぐ。
通風式、封入式、密封式がある。
通風式 | 容器に給気口と排気口がある | |
封入式 | 保護気体の漏洩が微量。 漏洩量を補う分を送気する | |
密封式 | 保護気体を完全に密封 |
内圧が所定の圧力以下となった場合のインターロック機構が必要。
整合指針では、内圧防爆構造が、pxb、pyb、pzcに細分化される。pxbであれば、EPL表記Gbであるためゾーン1対応可能。
油入防爆構造…o
oil immersion(オイル イマージョン)
国際整合指針Ex2020では、ゾーン0対応できない。
安全増防爆構造…e
increased safety
従来の構造規格では、第二種危険箇所にまで適応可能。
整合指針では、eb、ecに細分化されている。
本質安全防爆構造…ia,ib
intrinsic safety
発火能力の本質的抑制…ガスに点火するような電気花火を起こさない仕組み。
iaで記されている場合は特別危険箇所で使用可能。ibの場合は第一類・第二類危険場所で使用可能。
バリアリレー等と組み合わせて使用する。
最も安全な防爆構造で、ゾーン0への適応が可能。
整合指針だとやはり、対応ゾーンがわかりやすくなっている。
iaは保護レベルGa、ibはGb、icはGc対応している。
樹脂充てん防爆構造 ma、mb、mc
ma表記あるものは、ゾーン0対応可能。
爆発性ガスの分類
耐圧防爆構造においては、容器の強さが重要となる。
容器の強さは、、爆発性ガスの爆発特性によって定められる。
したがって、爆発性ガスの危険度を分類する必要があった。
「構造規格」では防爆電気機器の対象とする爆発性ガスを「爆発等級」と「発火度」で分類している。
防爆電気機器には、その防爆構造と防爆性能を表す記号がついている。
(例)「d2G4など。防爆記号などと呼ばれる」
小さい数字の爆発等級及び発火度の爆発性ガスに対して防爆性能が保証されていることを示す。
爆発等級1は、爆発等級3より危険の度合いが小さい。よって、爆発等級3に適合できるものは、爆発等級1にも適合できるものとしてみなされる。
発火度
揮発性の液体には、引火温度と発火温度がある。
引火温度:点火源を近づけたときに材料が着火して燃焼する最低の液温。
→当然、引火温度が低いガスほど危険
発火温度:材料が自然に発火する温度。
→当然こちらも、発火温度が低いガスほど危険
「電気機械器具防爆構造規格」(厚生労働省)では、爆発性ガスの発火度を「G1」、「G2」、「G3」、「G4」、「G5」、の5つのランクに分けている。「G5」が最も危険。
発火度 | 発火温度 | |
G1 | 450℃を超えるもの | アンモンチア トルエン エタン・メタン |
G2 | 300℃を超え450℃以下 | プロパン |
G3 | 200℃を超え300℃以下 | ガソリン |
G4 | 135℃を超え200℃以下 | アセトアルデヒド ジエチルエーテル |
G5 | 100℃を超え135℃以下 |
発火度「G4」のアセトアルデヒドやジエチルエーテルは、乙4でおなじみの特殊引火物。
引火性、揮発性が高くとても危険。
発火度「G3」にはガソリンがある。ガソリンは消防法上では第1石油類。
爆発等級
爆発等級は可燃性ガスが爆発した際の破壊力みたいなもの。危険度の目安。
「電気機械器具防爆構造規格」(厚生労働省)では、爆発性ガスの爆発等級を
「爆発等級1」「爆発等級2」「爆発等級3」の3つでランクに分類している。
「爆発等級1」が最も安全で、「爆発等級3」が最も危険。
火炎逸走限界という指標で可燃性ガスの危険度を分類しています。
爆発等級3の爆発性ガスの場合、火炎逸走限界値0.4mm以下とのこと。
火炎逸走限界(かえんいっそうげんかい)…MESG(Maximum Experimental Safe Gap)
Gap…すき間。小さいすき間だと火炎逸走してしまうので、すき間を狭くしなければならない。
0.6mmを超えてもOKなのが、爆発等級1。
0.4mm以下でなければならないものが、爆発等級3。
国際整合指針では、爆発性ガスの危険度をグループ分けしている。
爆発等級と同様に3段階評価。ⅡA、ⅡB、ⅡC。
ⅡCが最も危険。
防爆検定
防爆検定とは、防爆構造電気機械器具に係る型式検定のことである。型式検定とも。
公益社団法人産業安全技術協会(TIIS)等の登録検定機関が行います。
型式検定に合格した防爆機器には、型式検定合格証が発行されます
防爆規格は2立てですので、申請前にどちらかを選択します。
・電気機械器具防爆構造規格
・電気機械器具防爆構造規格第 5 条を適用するもの(=工場電気設備防爆指針(国際整合技術指針)
参考URL
電気機械器具防爆構造規格
電気機械器具防爆構造規格とは、単に「構造規格」と呼ばれることのほうが多い
「構造規格」といえば、電気機械器具防爆構造規格(昭和44年労働省告示第16号)の略称である